イェスパー・ストロムブラード

イェスパー・ストロムブラード：スウェーデンが生んだマルチプレイヤー・ギタリスト

イェスパー・ストロムブラードは、1972年11月28日、スウェーデン、イェーテボリに生まれました。4歳からヴァイオリンを始め、12歳までその腕を磨いていましたが、ギターへの興味が勝り、ギターへと転向します。この転向が、後に世界的なヘヴィメタルシーンに多大な影響を与えるミュージシャンのキャリアの始まりでした。

イン・フレイムスでの活躍と脱退

1990年、イェスパーはイン・フレイムスを結成。初期のイン・フレイムスはメンバーの流動性が高く、イェスパーはギターに加え、ドラムスとキーボードも兼任するマルチプレイヤーとして活動しました。1stアルバム『Lunar Strain』まではドラムス、3rdアルバム『Whoracle』まではキーボードを担当したのです。

イン・フレイムスでの活動は、彼の音楽家としての才能を余すことなく開花させました。数多くの楽曲制作にも参加し、バンドの中心メンバーとして活躍。しかし、2009年3月、アルコールの問題を抱え、ツアーへの参加を見送ることが公式ウェブサイトで発表されました。その後、元イン・フレイムスでエンゲルのメンバーであるニクラス・エンゲリンがツアーに帯同。そして、2010年2月12日、イン・フレイムスからの正式な脱退が発表されます。ニクラス・エンゲリンはその後、イェスパーの後任としてイン・フレイムスに加入しました。

多彩なバンド活動

イン・フレイムス以外にも、イェスパーは多くのバンドで活動しています。イン・フレイムスの結成と同じ1990年にはセレモニアル・オースにベーシストとして参加し、1stアルバム『The Book of Truth』にも貢献しました。1993年には、セレモニアル・オースで共に活動したオスカー・ドロニャックと共にハンマーフォールを結成。ここでは、ドラムスを担当しましたが、イン・フレイムスの活動に専念するため、1997年に脱退しました。ハンマーフォールには楽曲提供や一部ギター演奏で参加しています。

1995年には、イン・フレイムスを脱退したギタリスト、グレン・ユングストロームと共に、ディメンション・ゼロを結成。デスラッシュサウンドを奏で、EPと3枚のアルバムを発表しています。フィンランドのヘヴィメタルバンド、シナジーへの参加やオール・エンズへの参加など、活動は多岐に渡ります。2006年には、デグレイデッドを発掘し、イン・フレイムスのメンバーがエンジニアとして参加したことで、そのデビューを支えました。

イン・フレイムス脱退後は、ザ・レジスタンスを結成。ギターを担当し、メンバーにはマルコ・アロ、グレン・ユングストローム、アレックス・ロスバック・ホルスタッド、クリス・バーケンショーといった実力派ミュージシャンが集結しました。2012年には、16年ぶりにセレモニアル・オースが再結成され、再びベースを担当。ナイトレイジにはセッションギタリストとして参加しましたが、日本ツアー直前に体調不良で入院、ツアーへの参加は叶いませんでした。

2016年にはザ・レジスタンスを脱退。その後、元イン・フレイムスのメンバーや他の実力派ミュージシャンと共にサイラを結成し、ヘヴィメタルシーンで活動を続けています。2021年には、元イン・フレイムスのメンバーを中心としたザ・ヘイロー・エフェクトを結成。2022年のスウェーデンロックフェスティバルで初ライブを行い、現在も精力的に活動しています。

ギターワールド誌選出

2004年、ギターワールド誌の『GUITAR WORLD's 100 Greatest Heavy Metal Guitarists Of All Time』では、イン・フレイムスのビョーン・イエロッテと共に70位に選出されました。メロディックデスメタル系ギタリストとしてトップクラスの評価を得たのです。

その他

イェスパーは、オンラインゲーム『World of Warcraft』の熱心なプレイヤーとしても知られ、ライブに同ゲームのTシャツを着て参加することもありました。

イェスパー・ストロムブラードは、類まれな音楽性と幅広い楽器演奏能力、そして多様なバンド活動によって、ヘヴィメタルシーンに大きな足跡を残し続けている、まさにレジェンド級のミュージシャンと言えるでしょう。彼の音楽は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けることでしょう。

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