イエス・サード・アルバム

『イエス・サード・アルバム』（The Yes Album）は、プログレッシブ・ロックバンド、イエスが1971年に発表した3枚目のアルバムです。

本作は、イエスの音楽的基盤が確立された重要な作品として知られています。制作当時、バンドは初のメンバー・チェンジを行い、ギタリストとしてスティーヴ・ハウを迎えました。また、エンジニアのエディ・オフォードを共同プロデューサーに、マネージャーにブライアン・レーンを迎え、制作体制を強化しました。スティーヴ・ハウの加入はイエス・サウンドに大きな影響を与え、オフォードは「第6のメンバー」と呼ばれるほどスタジオ・ワークで重要な役割を担いました。

アルバムは、作者が「イエス」とされた「ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス」で幕を開けます。同じテーマの繰り返しを、アカペラ、ロック、ジャズ、フォークなど様々なアレンジで表現し、10分近い長さを感じさせません。歌詞はベトナム戦争に赴く若者たちを思って書かれたと言われています。

続く「クラップ」は、スティーヴ・ハウのアコースティック・ギター・ソロで、ライブ録音されています。彼が敬愛するチェット・アトキンスの影響を受けたカントリー・ピッキングの技巧が光ります。

初の組曲形式を取り入れた「スターシップ・トゥルーパー」は、ジョン・アンダーソンとクリス・スクワイアの楽曲を組み合わせ、スティーヴ・ハウのギター・ソロをエピローグに添えた大作です。

「アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル」は、トラディショナルな「ユア・ムーヴ」とワイルドなシャッフルの「オール・グッド・ピープル」からなる二部構成の組曲で、イエスの代表曲の一つとして知られています。

「ア・ヴェンチャー」は、トニー・ケイのピアノ・ソロが際立つ小品です。「パペチュアル・チェンジ」は、変拍子や対位法などの技巧が盛り込まれ、ジャズの影響も感じさせる楽曲です。

本作は、イギリスで4位、アメリカでもトップ40に入るヒットを記録し、イエスは窮地を脱しました。アルバム発表後、ツアーを行い、1971年8月にはトニー・ケイを解雇し、リック・ウェイクマンを後任に迎えました。

2014年にはリミックス盤が発売され、ステレオミックスや5.1chサラウンドミックスなどが収録されています。

収録曲

A面
1. ユアズ・イズ・ノー・ディスグレイス - "Yours Is No Disgrace"
2. クラップ - "Clap"
3. スターシップ・トゥルーパー - "Starship Trooper"
ライフ・シーカー - "Life Seeker"
ディシルージョン - "Disillusion"
ワーム - "Würm"
B面
1. アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル - "I've Seen All Good People"
ユア・ムーヴ - "Your Move"
オール・グッド・ピープル - "All Good People"
2. ア・ヴェンチャー - "A Venture"
3. パペチュアル・チェンジ - "Perpetual Change"

レコーディング・メンバー

ジョン・アンダーソン - ボーカル
クリス・スクワイア - ベース、ボーカル
ビル・ブルーフォード - ドラム、パーカッション
トニー・ケイ - キーボード
スティーヴ・ハウ - ギター、ボーカル

『イエス・サード・アルバム』は、イエスの音楽性を確立し、プログレッシブ・ロックの新たな可能性を切り開いた作品として、高く評価されています。

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