リック・ウェイクマン

リック・ウェイクマン (Rick Wakeman)

リック・ウェイクマンは、1949年5月18日にイングランドで生まれたミュージシャンで、主にプログレッシブ・ロックバンド「イエス」の鍵盤奏者として名を馳せています。彼はまた、ソロアーティストとしても数多くの作品を発表し、ロック音楽における重要なキーボードプレイヤーとして認識されています。2021年には大英帝国勲章（CBE）を受賞しました。

略歴

ウェイクマンは西ロンドンのペリヴェールで育ち、6歳からピアノを習い始めました。ドレートンマナーグラマースクールを経て、地元のバンド「Atlantic Blues」に参加。その後、ロンドンの王立音楽アカデミーで学びながらセッションミュージシャンとして活動を開始しました。18歳から21歳の間には、デヴィッド・ボウイの『スペイス・オディティ』やキャット・スティーヴンスのシングル「雨にぬれた朝」などに参加しましたが、学校側の反対もあり、卒業前に中退します。

彼のキャリアは1970年に「ストローブス」に加入し始まり、ライブアルバムで注目を集めました。1971年、トニー・ケイの後任として「イエス」に加入し、自身のスタイルでバンドの音楽にシンフォニックな要素をもたらしました。代表的なアルバムには『こわれもの』、『危機』、『海洋地形学の物語』があり、これによって「イエス」はプログレッシブ・ロックの代表的なバンドとして名を馳せました。

彼は同時にソロアルバムも多数発表し、特に『ヘンリー八世の六人の妻』や『地底探検』は高く評価されましたが、1974年には音楽的理由でイエスを脱退し、ソロ活動に専念します。その後1976年にイエスに再加入しつつも、何度か脱退を繰り返しながらキャリアを続けました。

ウェイクマンは、2009年にハンプトン・コート宮殿で『ヘンリー八世の六人の妻』の完全再現ライブを行い、これを契機に再評価されました。2010年には元イエスのジョン・アンダーソンとのデュオ「プロジェクト360」を発表し、ツアーを成功させました。

2016年には元イエスのトレヴァー・ラビンと共に「アンダーソン、ラビン＆ウェイクマン」として活動を開始し、2018年にはイエス結成50周年を祝うワールドツアーを実施しました。2021年6月には、その長年の業績に対してCBEを叙勲されました。

音楽性

ウェイクマンの音楽スタイルには、子供の頃から学んできたクラシック音楽の影響が色濃く現れています。特に1970年代の作品においてはその技術が特に際立っています。彼は多種多様なキーボードを駆使しながら、シンフォニックなアプローチを取ることで名を馳せました。1970年代前半の作品は特に高い評価を受けており、レンタル業やテレビ業界でも活動しているため、その存在は音楽界を超えて広がっています。

演奏スタイルでは、マルチ・キーボードを使用することが特徴で、さまざまな楽器をニーズに合わせて自由に手に取ることで、独自の音世界を創り出します。彼の演奏には、音域の広いアルペジオや独特のリズムが用いられ、力強いダイナミズムを生み出しています。また、1974年のアメリカ公演中にプロモーションのために新しいキーボードに出会った出来事も、彼の音楽スタイルの中で特筆すべきエピソードです。

私生活とエピソード

ウェイクマンの私生活には様々なエピソードがあります。特に音楽活動に対する強い姿勢や、イエスからの脱退の理由については多くの議論が交わされてきました。彼は当時アルコール中毒や健康問題に悩まされることもありましたが、現在はマン島で平穏な生活を送っています。また、家族も音楽に関わる人物が多く、息子のオリバーはイエスのツアーに参加するなど、音楽的な伝統を受け継いでいます。

その活動は音楽の域を超え、タレントとしての顔も持つ彼は、たくさんのテレビ番組に出演し、評論やコメンテーターとしても知られる存在となりました。

リック・ウェイクマンは、音楽家であるだけでなく、多彩な才能を持つクリエイターであり、現在も多くのファンに愛され続けています。

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