イエズス会聖ヨハネ修道院

西日本霊性センター・イエズス会聖ヨハネ修道院

西日本霊性センター・イエズス会聖ヨハネ修道院（にしにほんれいせいセンター イエズスかいせいヨハネしゅうどういん）は、広島県広島市安佐南区長束に位置するカトリックの修道院です。この施設は、1938年にイエズス会長束修練院として開院し、2005年から現在の修道院として運営されています。全国に4カ所存在するイエズス会霊性センターの一つであり、長束黙想の家や長束修道院と呼ばれることもあります。

当修道院は、1945年に広島市に原子爆弾が投下された際、爆心地から約4.5kmの距離にありました。このため、イエズス会は救護拠点として機能し、広島におけるキリスト教関連施設としては唯一の被爆建物となっています。その後の歴史においても、長束修練院は重要な役割を果たし続けています。

沿革

経緯

イエズス会は1908年に日本に再渡航し、教育事業に尽力しながら活動を広げました。1923年には、カトリック広島司教区が設立され、イエズス会のドイツ管区が管轄を担当することになりました。1925年に、広島市草津地区にカトリックの学校を設立する計画がなされましたが、当時の政情や地域情勢により、外国人が関与する学校建設には許可が下りませんでした。

1938年には、フーゴ・ラッサール神父が長束修練院の設立に尽力し、その後、広島におけるイエズス会の拠点が形成されることになります。1945年、長束修練院は原爆の影響を受け、このときに院内にいた多くの神父や修道士たちは被爆の状況を目の当たりにしました。

被爆

被爆時、修道院は神父や修道士たちの避難所として利用されました。8月6日、午前8時15分に爆発が発生し、多くの建物が崩れ落ちる中、修道院の地下道は奇跡的に被害を免れました。直後、多くの被爆者が院内に避難し、院長のペドロ・アルペ神父は医療活動を開始しました。彼は医学を学んでおり、院内を救護所として利用し、被爆者の手当てや救出に当たり、目撃者の証言に基づくと、院内に集まった避難者は数千人に達しました。

現代

今日、イエズス会聖ヨハネ修道院は、特に広島におけるカトリックの重要な拠点として位置づけられています。昭和時代には、多くのイエズス会日本人会員がここで養成され、2015年までの間に訪問者や信者たちがこの場所で黙想や修行を行ってきました。修道院の施設は充実しており、訪れる人々に安らぎの場を提供しています。

この修道院は、周囲の自然に囲まれた静かな環境にあり、学びや祈りの場として多くの人々に利用されています。また、修道院内には歴史的建物が残されており、平和を願う象徴的な存在でもあります。長束修練院の建物は、今も広島における歴史的な文脈の中で、多くの人々に利用され続けています。

構造

修道院は主要な木造三階建ての建物をもっており、一部は鉄筋コンクリート構造で作られています。伝統的な和風建築が採用されており、当時の地域の文化や風土を反映しています。特に、漆喰や瓦葺きの屋根、畳敷きの部屋が特徴で、日本の地震に耐えうる構造を有する設計がなされています。

庭には、美しい庭園と共に墓地も設営され、静かで敬虔な雰囲気を作り出しています。2003年には、ペドロ・アルペ元イエズス会総長の胸像も設置され、訪れる人々の記憶に残る場となっています。

今後も、イエズス会聖ヨハネ修道院は人々の心に安らぎを与え、広島の地における宗教的・歴史的意義を深める場所として機能し続けることでしょう。

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