フーゴ・ラッサール

フーゴ・マキビ・エノミヤ＝ラッサールの生涯と功績

人物概要

フーゴ・マキビ・エノミヤ＝ラッサール（Hugo Makibi Enomiya-Lassalle）は、1898年にドイツで生まれ、1990年に日本で亡くなったカトリック教会の司祭であり、イエズス会のメンバーとして活動しました。彼は1948年に日本に帰化し、愛宮真備という日本名を名乗りました。特に彼の活動は、広島の原爆投下とその後の世界平和に向けた努力に関連しています。

幼少期と教育背景

ラッサールは、ドイツ帝国ヴェストファーレン地方のニーハイムエクステンブロックにて誕生しました。彼の家族はフランスからの亡命ユグノーであったとされ、教育を受ける中で第一次世界大戦に従軍しました。1919年にイエズス会に入会し、哲学と神学を学び、1927年に司祭へと叙階されました。

日本での活動

ラッサールは1929年に日本に派遣され、上智大学で教育に従事しましたが、社会事業にも意欲的でした。彼は、特に1911年の関東大震災の影響を受けた地域の人々に対して活動を行い、荒川区三河島に「上智セツルメント」を設立しました。これらの活動は、彼の社会福祉への情熱を示しています。

1935年には、イエズス会の日本管区の上長に任命され、広島に本部を移しました。そして、1945年8月6日、広島に原子爆弾が投下され、彼は教会にいて直接被爆しました。これ以降、彼は世界平和の必要性を強く認識し、その後の活動に大きな影響を与えました。

広島平和記念聖堂の建設

原爆被害を受けた彼は、犠牲者への慰霊だけでなく、平和を願う思いから広島に世界平和記念聖堂を建設することを決意します。1948年に設計競技を開催し、全国からコンペがなされます。彼のビジョンは、平和を祈る場としての聖堂だけでなく、全ての戦争の犠牲者を慰霊する場所でもありました。

この聖堂はただの宗教的な建物ではなく、平和の象徴として位置づけられるようになります。1954年に献堂式が行われ、その後も改修が続きましたが、聖堂の建設は資材不足や朝鮮戦争の影響を受け、経済的な困難も伴います。それでも多くの人々の支援を受けて、次第に具体化していきました。

禅とキリスト教の融合

ラッサールはまた、坐禅をキリスト教生活の中に積極的に取り入れました。特に1943年、津和野の永明寺での参禅会が彼の禅への興味を深める契機となりました。彼はキリスト教の神秘思想と禅の実践を結びつけ、独自の視点を持って禅を広めていきます。この取り組みは、彼の著作にも表れています。

晩年と評価

1990年に91歳で亡くなったラッサールは、広島での活動や世界平和に向けた取り組みを評価され、広島市民からも深く敬愛されています。彼の遺骨の一部は、世界平和記念聖堂に納められており、彼の理念は今もなお生き続けています。また、禅とキリスト教の架け橋としての役割が評価され、後世の人々に影響を与え続けています。娯楽の多様化や信仰の自由が広がる現代においても、ラッサールの思想と活動は重要な意義を持ち続けています。

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