イカモニュメント (函館市)

イカモニュメントの概要

函館市の函館港若松ふ頭に位置するイカモニュメントは、特産品であるイカをテーマにした象徴的なモニュメントです。設置は1990年代初頭に遡り、地域の活性化を目的とした「ふるさと創生事業」の一環として推進されました。

背景と設置の経緯

このモニュメントが誕生するきっかけとなったのは、1988年に青函連絡船の廃止が決定したことでした。函館市はこの変革の年を遠因として、地域づくりに関する市民からの提案を数多く受け取りました。1989年度から1990年度にかけて集まった631件の市民提言や、19団体からの協力を基に、イカモニュメントを含めたプロジェクトが立ち上げられました。

設置にかかる費用は約6964万円であり、国の交付金を一部適用した供給事業を通じて資金調達が行われました。当初の完成予定は1993年8月でしたが、同年に発生した北海道南西沖地震の影響で、実際の設置は1994年2月にずれ込みました。

模索されたデザインと意義

デザインは、イカが群れを成して泳ぐ姿をイメージしており、暗くなればライトアップされる仕掛けも施されています。また、このモニュメントは、函館港まつりなどの際には大規模な花火大会の観覧スポットとしても利用され、地域イベントとの一体感を生み出しています。

広場の面積は約520平方メートルで、整備費用も含めると約1億2000万円に達しました。しかし、モニュメントの設置に関しては、市民の間で賛否が分かれました。

反対運動とその後の展開

1992年8月には、「イカモニュメント建設に反対する会」が結成され、観光資源に寄与しないとの見解を持つ市民によって反発が強まったため、函館市議会や市役所に対して陳情が提出されました。これに続いて、1993年には住民による監査請求と公金支出差し止め訴訟が起こり、議論が白熱しましたが、住民監査請求は却下されました。

年月が経ち、2020年には地元の編集者がモニュメントを利用して遊ぶ若者にインタビューを行ったところ、意外にもそのモニュメントの背景や意義を知らない人が多いことが判明しました。これは、地域振興の一環であったものの、時が経つにつれその存在意義が薄れてしまったことを示しています。

複合的な地域振興の一歩として

函館市の市史によると、歴史的建造物のライトアップや街路灯の強化など、ふるさと創生1億円は様々な使い道がなされています。イカモニュメントは、市民の要望と活性化の期待が込められたプロジェクトの一典型例といえるでしょう。地域の特産品をテーマにしたモニュメントが、どう地域に貢献し、意識され続けるかという重要な課題を考える機会ともなっているのです。

このように、イカモニュメントは函館市における地域振興の象徴的存在でありつつも、市民の認識の中でどのように位置づけられるのかが今後の課題とも言えます。

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