イクリニャ

イクリニャについて

イクリニャ（Ikurriña）は、バスク地域における民族的なシンボルとして広く認識されています。この旗は、スペイン語やバスク語で「バスク国旗」や「バスク民族旗」と称されることがあり、そのデザインや意味はバスク人のアイデンティティを深く反映しています。この名称自体は、バスク語の「ikur」から派生したもので、これは「記号」や「徴」を意味します。

デザインの特徴

イクリニャのデザインは、特にユニオンジャックの影響を受けているとされています。旗は縦280センチ、横500センチの長方形で、赤地の上に緑と白の斜め十字が交差しています。赤はバスク人を、緑は「ゲルニカのオークの木」を象徴し、白十字はカトリックの信仰を表しています。この「ゲルニカの木」は、バスクの伝統的な議会が開かれる場所でもあり、地域の自治や自由を象徴する重要な存在です。

イクリニャは、北バスク地域や海外のバスク系コミュニティでも広く使用されており、分離独立を求める急進的民族主義者によっても使用されることが多いです。しかし、バスク民族主義党の党旗でもあることから、この旗がバスク全体の象徴とされることに異議を唱える意見も少なくありません。

歴史的背景

イクリニャは、1894年に「バスク民族主義の父」と称されるサビノ・アラナによってデザインされ、同年の夏にビルバオのバスク人会議の場で初めて掲げられました。アラナはこの旗を、バスク民族主義党の党旗として創作しましたが、他のバスク地域の旗や連合旗もデザインしています。1885年にはバスク民族主義党が設立され、イクリニャはその運動の象徴として使用されます。

1923年、スペインのミゲル・プリモ・デ・リベラ政権はイクリニャを非合法化しましたが、1920年代後半にはフランス領バスクにも広まります。1936年、バスク自治政府が発足すると、イクリニャはこの新政権の旗として採用されました。しかし、1939年にフランコの独裁政権が始まると、イクリニャは公共の場から完全に撤去され、バスクでの抵抗の象徴となっていきました。

現代におけるイクリニャ

1975年にフランコが亡くなり、スペインが民主化に向かう中で、1977年には旗の掲揚が合法化されます。その後、1980年にはバスク自治州が設立され、1988年にイクリニャはバスク自治州の公式な旗として正式に採用されました。

現在、自治州内の公共機関ではスペイン国旗と共にイクリニャが掲揚されることが義務付けられており、フランス領バスクでも旗の掲揚が認められています。

名称の由来

「イクリニャ」という名称はサビノ・アラナが考案したもので、バスク語の「irakurri」（読む）の文法構造を基にしています。アラナは、「ikur」つまり「示すもの」から派生した形で、イクリニャを形成したとされています。本来、イクリニャは「旗」という意味で使われたが、次第にバスク民族のシンボルとして認識されるようになりました。この旗は、バスクの伝統や文化における重要性を示すだけでなく、地域のアイデンティティを強く象徴する存在となっています。

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