ミゲル・プリモ・デ・リベラ

ミゲル・プリモ・デ・リベラについて

ミゲル・プリモ・デ・リベラ（1870年1月8日 - 1930年3月16日）は、スペインの軍人であり貴族で、エステーリャ侯爵の第2代として知られています。彼は1923年から1930年にかけて独裁的な政権を運営したことで、スペインの歴史に深い痕跡を残しています。彼の治世は、国王アルフォンソ13世に「余のムッソリーニ」と呼ばれるほど、イタリアの独裁者ベニート・ムッソリーニと類似点がありました。

生い立ちと背景

プリモ・デ・リベラ家はスペインのアンダルシア地方、カディス県のヘレス・デ・ラ・フロンテーラにおいて名家として名を馳せていました。彼の叔父、フランシスコ・プリモ・デ・リベラ将軍は、1878年に第2次カルリスタ戦争を終結させた功によりエステーリャ侯爵に叙せられました。叔父の死後、ミゲルはその称号を継承しました。

政治的背景とクーデター

第一次世界大戦後、スペインは経済不況、労働運動の高まり、またカタルーニャやバスク地方における自治や独立の動きによって重大な政治的危機に直面しました。その中で、1920年代にはスペイン領モロッコでの反乱が進行しており、国家の内外で不安定なものでした。

このような状況の中、1923年9月12日、プリモ・デ・リベラはバルセロナの総督として、軍部や大土地所有者層の支持を受け、クーデターを決行しました。このクーデターは成功し、彼は国王アルフォンソ13世から首相に任命され、軍事独裁政権を樹立しました。

独裁体制の確立

プリモ・デ・リベラは議会を解散し、1876年の憲法を停止し、言論の自由を制限するなどして独裁体制を強化しました。彼はまた、労働運動に強い影響を持っていた哲学者ミゲル・デ・ウナムーノを拘束し、労働者の活動を弾圧しました。これにより、社会運動は冷却されましたが、彼は国家の発展を目指し、低金利政策や公共事業を通じて中産階級の生活向上を図るなどの施策を打ち出しました。

しかし、彼の政策には限界があり、放漫な財政運営が国の財政に深刻な影響を与える結果となりました。1926年には議会が復活し、知事を軍人から文官に変更するなど譲歩を強いられるようになりました。1917年には、「愛国同盟」という支配政党を結成し、明確な一党独裁制を志向しましたが、経済危機が進行し、支持基盤も揺らいでいきました。

経済危機と失脚

1929年に世界恐慌が起こると、スペイン経済も大きな打撃を受けました。ペセタの価値が急落し、リベーラの経済政策は破綻寸前に追い込まれました。この時、アルフォンソ13世からの圧力も強まっており、リベーラは1930年1月に辞任を余儀なくされ、「健康の悪化」を理由に政治から退くことになりました。その後、彼は亡命先のパリで亡くなりました。

その後の影響

プリモ・デ・リベラの息子である第3代エステーリャ侯爵ホセ・アントニオは、その後ファシスト政党のファランヘ党を結成しました。彼の独裁的な統治は、スペインの政治史において今後の動向にも影響を与えることとなり、ファシズムや独裁政治の研究において重要な事例となっています。

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