イグニス (企業)

株式会社イグニス

東京都渋谷区に本拠を置く株式会社イグニスは、インターネット関連サービスの企画、開発、運営を手がける日本の企業である。特に、人々の出会いや結びつきを支援する恋愛・婚活マッチングサービスや、新たなエンタテインメントの形を提供するバーチャルライブプラットフォームなどを中心に事業を展開している。多様なデジタルサービスを通じて、人々の生活に価値を提供することを目指している。

事業の変遷

企業の歴史において、イグニスはスマートフォン向けアプリケーション、特にソーシャルゲーム分野に注力していた時期があった。「ぼくとドラゴン」といった一定の人気を獲得したタイトルも生み出したが、モバイルゲーム市場全体の競争が激化する中で、新たなゲームタイトルの開発を一時停止する方針が取られた。その後、ソーシャルゲーム事業からの撤退が段階的に進められた。2020年3月2日には、当時ソーシャルゲーム事業を展開していた子会社である株式会社スタジオキングの当該事業を会社分割により株式会社スタジオレックスへ移管し、その株式会社スタジオレックスの全株式を株式会社ドリコムに譲渡する形で、この分野から完全に撤退を完了した。事業構造の最適化とグループ内の再編を目的として、2020年10月1日付で、株式会社スタジオキング、株式会社アイシー、株式会社IGNIS APPS、ALTR THINK株式会社、株式会社ラップランドの計5社を吸収合併し、組織体制の統合を図った。

経営体制の移行と上場廃止

2021年には、経営体制において大きな変化を迎えた。同年4月26日、株式会社i3がマネジメント・バイアウト（MBO）の一環として、イグニスの株式に対する公開買付け（TOB）を実施した。このTOBにより、株式会社i3は発行済み株式の44.28%を取得し、株式の集約が進められた。その結果、株主構成が変化し、同年6月30日をもって東京証券取引所マザーズ市場における上場が廃止された。さらに、同年7月2日には株式併合の手続きが実施され、これにより株主が株式会社i3、そして個人である鈴木貴明氏と銭錕氏の3者のみとなった。これは、経営陣や関係者が株式の過半数を保有し、企業が非公開化されたことを示す動きである。

社名の起源

「イグニス」という社名は、古代ローマの言葉であるラテン語で「火」を意味する言葉に由来している。この命名には、単に燃えるような情熱を表すだけでなく、より象徴的で深い意味が込められている。現代社会において「火」が生活に不可欠で「あたりまえ」の存在であるように、イグニス自身もまた、人々の生活にとって「次のあたりまえ」となるような革新的なサービスを創造し続けたいという強い意志が込められている。また、「高い志を持ち、仕事に対して情熱を燃やす人々の集合体でありたい」という、企業文化や働く人々のあるべき姿に対する願いも表されている。そして、「次の『あたりまえ』を継続的に創り出すことによって、世界全体をより良い方向へ進化させていきたい」という、社会に対する貢献と絶え間ない革新への高い目標が社名に託されている。

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