イスキア島

イスキア島：地中海の火山島

イスキア島は、イタリアのナポリ湾西部に位置するフレグレエ群島最大の火山島です。プローチダ島とヴィヴァラ島の西に位置し、面積は約46.3平方キロメートル、最高地点はエポメーオ山の787メートルです。この島は、美しい自然景観と、古代からの豊かな歴史を持ち合わせています。

火山活動の歴史

イスキア島は火山活動によって形成された島であり、イスキア火山は火砕丘や溶岩ドームが複合した火山です。その活動は少なくとも15万年前から始まり、約5万年前には大規模な噴火が発生しました。記録に残る最後の噴火は1302年です。現在では火山活動は落ち着いていますが、その地形は過去の激しい火山活動の痕跡を今に残しています。

島の暮らし

島には約7万人の人々が暮らしており、その多くはブドウ畑での仕事に従事しています。イスキア島は、温暖な気候と肥沃な火山性土壌に恵まれ、ブドウ栽培に適しており、ワイン造りが盛んです。美しいブドウ畑が広がる風景は、この島の魅力の一つです。

古代からの歴史

紀元前8世紀半ば頃、エウボイア島からのギリシア人が、この地に植民都市ピテクサイを築きました。この都市は、ギリシア本土とイベリア半島を結ぶ地中海交易の中継地として重要な役割を果たしました。また、近隣のエルバ島で産出される鉄鉱石を用いた金属加工も行われ、ギリシア本土では不足していた金属資源の入手を目的としていたと考えられています。古代からイスキア島は、地中海における重要な拠点でした。

近年の出来事

近年、イスキア島は自然災害に見舞われています。2017年8月21日には地震が発生し、2022年11月26日には土砂崩れが発生し、多くの犠牲者が出ました。これらの出来事は、自然の脅威と、その中で生きる人々の脆さを物語っています。

行政区分

イスキア島は、以下の6つのコムーネに分かれています。

イスキア (Ischia)
カザミッチョラ・テルメ (Casamicciola Terme)
ラッコ・アメーノ (Lacco Ameno)
フォリーオ (Forio)
セッラーラ・フォンターナ (Serrara Fontana)
バラーノ・ディスキア (Barano d'Ischia)

これらのコムーネはそれぞれ独自の特色を持ち、観光客にも人気があります。

文化的な影響

イスキア島は、その美しい景観と穏やかな雰囲気から、心休まる場所として知られています。このイメージは、日本の佐藤初女の「森のイスキア」をはじめとする各地の「海のイスキア」、「緑のイスキア」といった名称にも用いられています。これらの施設は、イスキア島の持つ癒しの力を象徴しています。

まとめ

イスキア島は、その美しい自然と歴史、そして人々の営みが織りなす魅力的な島です。火山活動によって形成された地形、古代からの歴史、近年の自然災害、そして人々の暮らしは、この島を訪れる人々に、深い印象を与えるでしょう。

参考資料

守谷以智雄「イタリアの第四紀火山体のタイプ」『金沢大学文学部地理学報告』第8号、金沢大学文学部地理学教室、1997年、137-152頁
中野聰志「イタリア・イスキア島粗面岩中のアルカリ長石」『滋賀大学教育学部紀要 自然科学』第49号、滋賀大学教育学部、1999年、9-17頁
ライエル, 大久保雅弘『地球の歴史を読みとく : ライエル「地質学原理」抄訳』古今書院、2005年。

関連項目

ナポリ湾
カンピ・フレグレイ (Campi Flegrei)
フレグレエ諸島 (isole Flegree)
イタリアの地理
太陽がいっぱい

外部リンク

* Ischia - Smithsonian Institution: Global Volcanism Program

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