イスパノ・スイザ HS.404

イスパノ・スイザ HS.404の概要

イスパノ・スイザ HS.404（Hispano-Suiza HS.404）は、20世紀における重要な航空兵器の一つで、特に第二次世界大戦中において多くの国の軍隊によって使用されました。この機関砲は20mm口径で、イスパノ・スイザ社が開発したもので、航空機に特化した設計がされています。戦争中、航空機搭載用や対空防御用に広く導入されました。

開発と進化

HS.404の開発は、イスパノ・スイザ社のフランス支社が1930年代に開始しました。元々はエリコン社の技術を元にした12Yエンジン搭載の砲として設計が進められていましたが、途中で特許問題が発生し、独自の機構への変更が必要となりました。その結果、飛行中でも高い連射能力と初速を実現することが求められ、技術者マルク・ビルキヒトの手によってHS.404が完成しました。

HS.404は1938年に米国で特許を取得し、主にフランス空軍向けに生産が行われました。その後、イギリスやアメリカでもライセンス生産が始まり、各国で独自の改良が施されたことから多くのバリエーションが生まれました。

主な仕様と特徴

HS.404の大きな特徴は、ブローバック方式とガス圧作動方式を併用しているところです。この技術によって、発射速度や砲口初速を向上させることができました。また、特に航空機に搭載されることを前提に設計され、軽量かつコンパクトな構造が求められました。

この機関砲は、通常60発までのドラム型弾倉を装備していましたが、飛行中の弾倉交換が難しく、装弾数の不足が問題とされました。これを解決するために160発装弾のドラム型弾倉が開発されましたが、信頼性の低下が懸念されました。そのため、1940年にはベルト給弾システムの開発が試みられましたが、フランスの降伏によってこの計画は中断されました。

運用の歴史

イギリスでは1940年からHS.404を標準武装として採用し、スピットファイアやタイフーンなどに搭載されましたが、当初は作動不良が頻発しました。これを解決するため、改良型となるイスパノ Mk.IIが1941年に登場し、薬室の設計変更や弾薬の改良が施されました。

アメリカでも、HS.404は1941年からライセンス生産が始まり、M1として知られる型が生まれましたが、こちらでも信頼性の問題が多発しました。最終的に、米国製の改良型M24が1947年に開発されるも、リヴォルヴァーカノンやモーターガトリング砲の進化により、航空機搭載機銃としての役割は次第に減少していきました。

イザラエルにおける運用

第二次世界大戦後、イスラエル国防軍でもHS.404が利用され、特にTCM-20対空機関砲としての改良が施されました。これは、装甲車に搭載され、第四次中東戦争においても使用されました。

結論

イスパノ・スイザ HS.404は、その高い戦闘能力と多国籍な運用により、20世紀の航空機関砲の中で重要な存在となりました。数々の改良型があり、各国の戦闘機に搭載されるなど、歴史に名を刻んでいます。その後、技術の進化とともに航空機搭載機銃のあり方も変わりましたが、HS.404の影響は今でも語り継がれています。

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