イスラム教の預言者

イスラム教の預言者たち

イスラム教において、預言者とは、唯一神アッラーフによって選ばれ、神の言葉を託された人物を指します。アラビア語では「ナビー」と呼ばれます。

概要

イスラム教では、旧約聖書に登場する預言者や、新約聖書のイエス・キリスト（イーサー）も預言者として認めています。特に重要な預言者として、以下の5人が挙げられます。

ノア（ヌーフ）
アブラハム（イブラーヒーム）
モーセ（ムーサー）
ナザレのイエス（イーサー）
ムハンマド

イスラム教では、ムハンマドが最後の預言者であるとされています。

預言者と使徒の違い

ユダヤ教やキリスト教の影響を受けて成立したイスラム教では、預言者（ナビー）と使徒（ラスール）はほぼ同義に使われますが、区別することも可能です。

預言者（ナビー）：神からの知らせ（ナバア）を啓示された者を指します。
使徒（ラスール）：預言者であることに加え、啓示されたナバアを人々に伝える使命を帯びた者を指します。

つまり、使徒は預言者としての側面を持ち、預言者の中に使徒が含まれるという関係になります。

クルアーンに登場する預言者たち

クルアーンには、25人の使徒（預言者）が登場します。アラビア人は5人で、アイユーブは旧約聖書にも登場する預言者ですが、イスラエル人ではなく、モーセと同時代のアラビア半島の預言者とされています。「民族として分岐前」と表記される人物は、アラブ人とイスラエル人が分岐する前の時代の預言者です。

クルアーンに名前が登場する預言者（使徒）の例：

アダム（アダム）
イドリース（エノク）
ヌーフ（ノア）
フード（エベル）
サーレフ（メトシェラ）
イブラーヒーム（アブラハム）
ルート（ロト）
イスマーイール（イシュマエル）
イスハーク（イサク）
ヤアクーブ（ヤコブ）
ユースフ（ヨセフ）
アイユーブ（ヨブ）
シュアイブ（シュトロン）
ムーサー（モーセ）
ハールーン（アロン）
ユヌス（ヨナ）
ダーウード（ダビデ）
スライマーン（ソロモン）
エリヤース（エリヤ）
アルヤサ（エリシャ）
ズルキフリ（エゼキエル）
ザカリーヤー（ゼカリア）
ヤヒヤー（ヨハネ）
イーサー（イエス）
ムハンマド

なお、27人の預言者がクルアーンに登場するという説もあり、その場合は、ウザイル（エズラ）、ズルカルナイン（アレクサンダー大王）、ルクマーン（アラブの賢者）などが候補に挙がります。ただし、これらの人物は預言者ではないという見解もあります。

また、旧約聖書のシャムウィール（サムエル）やユーシュア（ヨシュア）なども、クルアーンに直接名前は記されていないものの、その人物であると特定できる形で登場しています。さらに、洞窟章でモーセが教えを請うた人物（クルアーンでは名前が明記されていないが、伝統的にヒドゥルとして知られる）も、イスラムの伝承では重要な預言者の一人とされています。

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