ヨナ

ヨナとは

ヨナ（ヘブライ語: יוֹנָה, Yonah, 鳩の意味、ギリシア語: Ιωνάς, Ionas）は、旧約聖書に登場する預言者であり、アミタイの子です。彼はガテ・へフェルの出身であり、列王記下14:25にもその名が記されていますが、旧約聖書において、その主要な活躍は『ヨナ書』に描かれています。

正教会ではイオナと称され、9月22日（ユリウス暦を使用する正教会では10月5日）を記憶日としています。また、イスラム教のクルアーンではユーノス（ユーヌス）として知られています。

ヨナ書の物語

『ヨナ書』は、ヨナが神の命令に背き、逃避と悔悟、そして最終的には神の愛と憐れみを学ぶ物語です。

物語は、神がヨナにアッシリアの首都ニネヴェへ行き、その悪を指摘するように命じるところから始まります。しかし、ニネヴェは当時のイスラエルの敵国であり、ヨナは神の命令を拒否し、タルシシュへ逃げようとします。船に乗ったヨナは嵐に遭遇し、自らが原因であることを告白、海に投げ込まれます。すると嵐は鎮まり、ヨナは巨大な魚に飲み込まれ、三日三晩その腹の中で祈ります。

魚に吐き出されたヨナは、改めて神の言葉に従い、ニネヴェへ向かいます。「あと40日したらニネヴェは滅びる」と預言すると、ニネヴェの民は悔い改め、神は災いを下すのを思いとどまります。ヨナは民の改心に不満を抱き、町の東に小屋を建てて様子をうかがいます。神はヨナのためにとうごまを育てて日陰を作り、ヨナはそれを喜びますが、翌日には枯らしてしまいます。これに怒るヨナに対し、神は、労せずして育ったとうごまを惜しむヨナの心を問い、「右左をわきまえない12万人以上の民と多くの家畜がいるニネヴェを惜しまないでいられるだろうか」と教えます。

ヨナの物語の意義

ヨナの物語は、神の普遍的な愛と憐れみを強調しています。ヨナが敵国であるニネヴェの人々を愛せない中で、神は彼らをも愛し、救済を与えようとする姿は、神の愛が特定の人々だけでなく、全ての人々に向けられていることを示しています。

また、ヨナの物語は、人間の傲慢さと偏見を批判し、神の意志に従うことの大切さを教えています。ヨナは自身の感情や偏見にとらわれ、神の命令に背きますが、最終的には神の愛の深さを理解し、改心します。この物語は、私たち自身の心の中にある偏見や傲慢さに気づかせ、神の愛に心を向けるように促します。

その他の情報

ヨナの物語は、キリスト教においては、キリストの復活を象徴するものとしても解釈されています。ヨナが三日三晩、魚の腹の中にいたことは、キリストが墓の中にいた期間と重ねられ、復活の預兆と見なされます。

聖書の登場人物の一覧
復活 (キリスト教)

受難週 聖大土曜日 （日本正教会によるヨナ書の全訳が含まれている）

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