イズモコバイモ

イズモコバイモ（出雲小貝母）

イズモコバイモ（学名：Fritillaria ayakoana）は、ユリ科に属する小型の多年草で、主に早春に花を咲かせる特徴的な植物です。この種は日本の島根県にのみ分布しており、その美しい花は多くの人々を魅了しています。

特徴

イズモコバイモは、地下に白色の球形鱗茎を持ち、直径は7から15mm程度です。この鱗茎は、2つの半球形の鱗片から構成されています。該当植物の茎は細く、高さは10から30cmに達し、優雅に葉を支えています。葉は狭い披針形で、下部では2枚が対生し、上部の花柄基部では3枚が輪生しています。それぞれの葉は35から80mmの長さ、5から15mmの幅があります。

花は3月中旬から下旬にかけて咲き、椀状の鐘形をしており、長さは14から16mm、直径は7から10mmです。花の先端はわずかに外側に反り返り、長さ5から15mmの花柄の先に一つの花が下垂してつきます。花被片は6枚あり、赤みを帯びた白色から淡紫色に変化し、長楕円形をしています。外側には薄い紫褐色の縦線や暗紫色の斑紋が見られ、内側の基部から先端に向かう腺体があり、この部分は緑色から黄緑色を呈します。

雄蕊は6本、長さ5から9mmで、葯は黄白色が特徴です。一方、雌蕊は長さ10から15mmで、白色の花柱には微細な突起があります。果実は蒴果で、長さ10から17mm、直径8から11mmに育ちます。種子は2mmの長さと幅を持ち、染色体数は2n=24に分類されます。

分布と生育環境

この植物は日本固有種であり、本州の島根県に特有の植物です。イズモコバイモは、低山の落葉樹林下で生育し、非常に珍しい植物として知られています。

名前の由来

種小名の「ayakoana」は、花の特徴を発見し新種として記載する際に重要な役割を果たした島根県の丸山綾子氏への献名から来ています。和名の「イズモコバイモ」は「出雲小貝母」という意味で、初めて採取された場所は1978年の島根県簸川郡佐田町（現在の出雲市）です。

分類

イズモコバイモは、カイコバイモ（Fritillaria kaiensis）と似た花形を持っていますが、花糸や花柱に微細な突起があり、花柱の先端はほとんど3裂しない点が異なります。カイコバイモの染色体数は2n=24に対し、イズモコバイモは2n=22となります。

種の保全状況評価

イズモコバイモは、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類（VU）に指定されています。また、地元島根県では、絶滅危惧I類（CR+EN）に分類されており、保護が急務な植物です。

天然記念物指定

この植物は、島根県川本町によって「イズモコバイモ」として天然記念物に指定されており、その生育地である「反辺のイズモコバイモ群生地」もまた、出雲市の天然記念物として保護されています。

まとめ

イズモコバイモは、独自の美しさと希少性を兼ね備えた魅力的な植物です。国内外の多くの人々に親しまれ、今後もその姿を守るための努力が求められています。

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