イソップの思うツボ

『イソップの思うツボ』（2019年8月16日公開）は、浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢という3人の監督が共同で制作した日本映画です。個性豊かな登場人物たちが複雑に絡み合い、騙し合い、復讐、裏切りが入り乱れる群像劇となっています。

物語の中心となるのは、大きく分けて3つの家族です。まず、内気でおとなしい女子大生、亀田美羽。彼女の唯一の友は亀だけです。対照的に、タレント一家に生まれ、恋愛体質の女子大生、兎草早織。そして、父と二人で復讐代行業を営み、日々の生活に追われる女性、戌井小柚。それぞれの家族を取り巻く環境や人間関係、そしてそれぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語全体を揺るがす重要な役割を担っています。

3人の監督は、それぞれ担当する家族を決め、独特な撮影方法を採用しました。亀田家は中泉監督、兎草家は上田監督、戌井家は浅沼監督がメインとなり、他の2人は助監督として撮影に参加する体制です。上田監督は、この体制について「ワンシーンの中で、全員が横並びで現場を見て監督しているという体制はなかなか無い。自分一人では絶対できない作品になった」とコメント。浅沼監督も、この大胆な撮影方法を3監督ならではのメリットだと語っています。この斬新な手法が、映画に独特な空気感と深みを与えていると言えるでしょう。

キャストは、石川瑠華が亀田美羽、井桁弘恵が兎草早織、紅甘が戌井小柚を演じます。その他、斉藤陽一郎、藤田健彦、髙橋雄祐、桐生コウジ、川瀬陽太、渡辺真起子、佐伯日菜子など、実力派俳優たちが脇を固めます。さらに、上田監督の過去作『カメラを止めるな!』に出演した俳優陣もカメオ出演しています。

公開初日には、東京・TOHOシネマズ日比谷で舞台挨拶が行われ、多くの観客が詰めかけました。騙し合いと復讐、そしてそれぞれの思惑が絡み合うスリリングな展開、個性豊かな登場人物たちの描写、そして3人の監督によるユニークな演出が融合した『イソップの思うツボ』。予測不能なストーリー展開と、俳優たちの熱演が観る者を魅了する、見逃せない作品となっています。

スタッフも豪華な顔ぶれです。脚本は上田慎一郎が担当し、浅沼直也、中泉裕矢が共同脚本として参加。プロデューサーには井西政彦、久保田傑、アソシエイトプロデューサーに廣瀬敏、協力プロデューサーに佐藤美由紀、冨永威允と、数多くのスタッフが作品を支えました。撮影・照明は曽根剛、音響は黄永昌、美術は福島奈央花、装飾は倉岡真弓、編集は伊藤拓也、ヘアメイクは高村三花子、アクションは二宮由一、ガンエフェクトは近藤佳徳、劇中イラストはふくだみゆきが担当しています。配給はアスミック・エース、制作プロダクションはオフィス・シロウズ、企画・制作はデジタルSKIPステーション、製作は埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザが務めています。

この映画は、一見するとバラバラに見える登場人物たちが、それぞれの思惑と行動を通して、複雑に絡み合い、最終的には予想外の展開へと進んでいく、見応えのある作品です。それぞれのキャラクターの背景や動機、そして彼らの関係性が丁寧に描かれており、観る者を引き込む魅力があります。

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