イタリアにおける死刑

イタリアにおける死刑制度の歴史

イタリアでは、死刑制度の有無が大きな社会問題となっており、その歴史は非常に興味深いものがあります。特に16世紀から19世紀にかけての多くの変革がありました。最初に注目すべきは、1786年にトスカーナ大公レオポルド1世が完全に死刑を廃止した点です。これはヨーロッパの中でも初めての試みであり、当時の社会において死刑が持つ意義を見直す動きが始まりました。

1860年にイタリア王国が統一されると、死刑制度は一部の地域では残存していましたが、トスカーナを除いて全国的に存在していました。1889年、イタリア議会によって刑法が改正され、正式には死刑が廃止されたものの、1877年以降は実際に死刑が執行されていなかったのです。これは当時の国王ウンベルト1世の勅令によるものでしたが、軍法会議や植民地の裁判では依然として死刑が存在していました。

ムッソリーニの影響

1926年、独裁政権下のベニート・ムッソリーニは大逆罪に対する死刑を復活させ、1931年には一般犯罪に対しても死刑が適用されるようになりました。この時期、ファシスト党の影響下で死刑が頻繁に執行され、特に政治犯に対する取り締まりが強化されました。1947年、イタリアで最後に死刑が執行されたのは、10人を殺した強盗犯の銃殺刑でした。これは戦後の混乱期における特異な事例として語られています。

イタリア共和国憲法が制定された1947年12月27日には、平時における死刑制度が廃止され、1948年にはこの法律が正式に施行されました。その後、1994年まで軍法会議では理論上死刑が存在していたものの、実際には執行は行われませんでした。最後の一線が越えられたのは2007年、憲法第27条4項が改正され、戦時下においても死刑が完全に禁止されることとなりました。

死刑執行方法と現在

イタリアにおける死刑執行方法としては、主に銃殺刑が用いられていました。死刑執行人とは、これらを実行する義務を持つ者のことを指しますが、近年のイタリアではその役割が存在しなくなり、実際の執行が行われることはありません。

今日、死刑に関する議論は続いており、国際的な人権の視点からも問題視されています。イタリアは死刑制度を完全に廃止した国として、他国の制度改革への指針となることが期待されています。同時に、世界の死刑制度を巡る現状は依然として多様であり、イタリアはその変化の一環を成しているのです。国民の意識や国際的な圧力を受けながら、今後もイタリアの死刑問題は注視されていくことでしょう。

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