イタリア・ナショナリスト協会

イタリア・ナショナリスト協会（ANI）の歴史

イタリア・ナショナリスト協会（Associazione Nazionalista Italiana、略称ANI）は、1910年から1923年の間に活動していた、イタリアの初期ナショナリスト政党です。ANIは、多様なナショナリズムの思想を内包しており、権威主義、民主主義、穏健主義、革命主義など、さまざまな視点の支持者たちが集まる場となっていました。

創立と理念

当協会は文筆家エンリコ・コッラディーニによって設立され、彼の国粋運動に対する情熱が基盤となっています。コッラディーニは、第一次エチオピア戦争を機に国粋的な思想を強め、主に自身が編集長を務めていた雑誌『イル・レーニョ』を通じてナショナリストの連帯を促進しました。『イル・レーニョ』を離れた後も、コッラディーニは南米のイタリア系移民についての研究や他の政治運動との接触を通じ、国粋運動の発展を図りました。

彼が提唱する「プロレタリア国民論」は、革命的サンディカリズムの影響を受けつつも、イタリア民族の新たな力を下層に見出し、社会主義がそれを誤った方向へ導くことを批判しました。さらに彼は、上流層に対しても社会秩序における重要性を認めつつ、リソルジメントの理想を失って堕落しているとしています。

ナショナリスト会議と文献活動

1910年の12月3日、コッラディーニはフィレンツェのヴェッキオ宮殿でイタリア・ナショナリスト会議を開きました。この会議にはさまざまな国粋主義の流派が集まり、ナショナリズムの今後の方向性について討論が行われました。その中でも特にコッラディーニの「プロレタリア国民論」は広く支持を受け、会議参加者たちの意見を集約し、ANIの結成へとつながりました。

1911年には、コッラディーニら中心的なメンバーが新聞『リデオ・ナツィオナーレ』を設立し、国家主義や民族主義に加えて帝国主義的な視点も展開しました。当初、ANIはオーストリアが支配していたイタリア人の多い地域をイタリア王国に返還することや、そのために戦争を支持していました。また、第一次世界大戦が勃発すると、彼らは参戦を支持し、民族主義を高揚させる結果となりました。

政治的影響と合併

ANIの権威主義的な性格は、後にベニート・ムッソリーニによって導かれたイタリア戦闘者ファッシに多大な影響を与えました。ジョヴァンニ・ジョリッティ政権のもとで成立した与党連合「国民ブロック」では、ANIとイタリア戦闘者ファッシが共闘し、共に選挙に参加しました。1921年には、国民ブロックが105議席を獲得し、ANIは20議席、イタリア戦闘者ファッシは35議席を手に入れました。

最終的には、ムッソリーニが戦闘者ファッシを国家ファシスト党（Partito Nazionale Fascista, PNF）として再編成した後、ANIは1923年にこの党に合流しました。これにより、ANIの存在は新たな形で歴史に刻まれることとなりました。

結論

イタリア・ナショナリスト協会は、ナショナリズムの様々な流派を内包した政党であり、イタリアの歴史の中で重要な役割を果たしました。コッラディーニの思想は、後のファシズム運動に影響を与える過程で、今日のナショナリズムの理解や評価においても舌役を果たしています。

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