イッテルビウム

イッテルビウム (Ytterbium)

イッテルビウムは、原子番号70を持つ元素で、元素記号はYbです。これは希土類元素の一つであり、ランタノイドにも分類されます。この元素は、スウェーデンの小さな町イッテルビーに因んで名づけられ、同じく希土類に属するイットリウムと語源が共通しています。このため、名称の発音や元素記号が似ているため、混同が生じることがあります。特に、イッテルビウムが高温超伝導の研究で名前が挙がった時には、イットリウムが関連を持つ銅酸化物系の超伝導体（YBCO系）についての誤情報が流れ、イッテルビウムの需要が急増したことがありました。

存在場所

イッテルビウムは、ゼノタイム（燐酸塩鉱石）やガドリン石、モナズ石、バストネス石といった鉱石に含まれています。これらの鉱石から、他の希土類元素とともに採取されることが一般的です。

歴史と発見

この元素は1878年にスイスの化学者ジャン・マリニャックによって初めて分離されました。発見地であるイッテルビーからは、イッテルビウムの他にもイットリウム、テルビウム、エルビウムの4つの新しい元素が見つかり、それぞれの特性が明らかにされました。

物理的性質

イッテルビウムは灰色の金属であり、常温および常圧下で安定した面心立方構造（FCC）を持っています。比重は6.97で、融点は824°C、沸点は1193°Cとされています。また、イッテルビウムは空気中で表面が酸化されるものの、内部の構造は侵されることはありません。水にはゆっくりと溶け、酸や液体アンモニアにも反応します。さらに、水素やハロゲンといった元素とも反応しやすいです。イッテルビウムの安定した原子価は+2および+3です。

同位体と化合物

[イッテルビウム]]の同位体にはいくつかのバリエーションがあります。また、イッテルビウムを含む化合物も多々あり、例えば酸化イッテルビウム] (Yb2O3)、十二ホウ化[イッテルビウム (YbB12)、塩化イッテルビウム (YbCl2, YbCl3)、水素化[[イッテルビウム]などがあります。これらは科学的・工業的に重要な役割を果たしています。

用途

イッテルビウムは、主にガラスの着色剤やYAGレーザーの添加物として利用されています。特に、2021年には、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構がイッテルビウムを用いた磁性体を利用した極低温冷却技術を発表しました。この成果は、ドイツのアウグスブルグ大学との共同研究によるもので、イッテルビウムの応用範囲が広がることが期待されています。

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