イドリス・デビ

イドリス・デビ

イドリス・デビ（Idriss Déby、アラビア語: إدريس ديبي、フランス語: Idriss Déby、1952年6月18日 - 2021年4月20日）は、チャドの政治家であり、1990年から2021年まで同国の大統領を務めました。愛国救済運動（MPS）の党首でもありました。

生涯

1952年、フランス領赤道アフリカのファダで生まれました。スーダンへの亡命中に、リビアなどからの支援を受けて反政府勢力である愛国救済運動を結成しました。

1990年12月4日、首都ンジャメナを制圧し、暫定大統領に就任しました。その後、1996年と2001年の大統領選挙で再選を果たしました。

本来であれば、2001年の時点で憲法で禁止されていた3期目に相当するはずでしたが、1996年3月31日に憲法が成立したため、1990年の当選は1期目とカウントされないとの見解が採用されました。さらに、2004年5月には憲法改正により大統領の再選規定が撤廃され、2006年、2011年、2016年と当選を重ねました。

2018年4月には再び憲法を改正し、任期を6年としたほか、3選禁止を再導入しました。しかし、一連の再選制限をめぐる動きは、事実上、現職大統領の任期を継続させるためのものと見なされました。

デビ大統領の政治手法は、圧政国家として知られるベラルーシのルカシェンコ大統領や、ベネズエラのチャベス元大統領と類似していると評され、欧米諸国からは独裁者と見なされていました。

一方で、チャド国内では反政府勢力との内戦が続いており、2008年2月2日には反政府勢力が首都ンジャメナを一時制圧する事態も発生しました。

2020年には、死刑制度を廃止しました。

2021年4月11日の大統領選挙は野党がボイコットする中で行われ、デビ大統領の6選が確実視されていました。そして、4月19日に予想通り当選が発表されましたが、翌日の4月20日、チャド北部における反政府勢力との戦闘に加わる国軍部隊を前線で視察中に負傷し、死亡しました。68歳でした。

デビ大統領の死後、彼の息子であるマハマト・イドリス・デビ・イトノが率いる暫定軍事評議会が18ヶ月間、政権を担うことになりました。

業績と評価

イドリス・デビは、30年以上にわたりチャドの政治を主導し、内戦終結や国家再建に一定の役割を果たしたと評価される一方で、長期にわたる独裁的な政治手法や人権侵害などが批判されてきました。

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