イドリース教団

イドリース教団

イドリース教団は、18世紀後半から19世紀にかけて活躍したアフマド・イブン・イドリース・アル＝ファースィー（1760-1837）によって創設されたスーフィズムの教団です。当初、「タリーカ・ムハマディーヤ」として知られていました。

特徴

「タリーカ・ムハマディーヤ」という名称における「タリーカ」は、組織化されたスーフィー教団を指すのではなく、教えと礼拝を通じた独自のスピリチュアルな方法論を意味します。この方法論は、門弟と預言者ムハンマドの間に直接的な霊的結びつきを築くことを目的としていました。

アフマド・イブン・イドリースは、シャーディリー教団をはじめとする他の教団にも見られるスピリチュアルな系譜を受け継いでいます。イドリース教団はムハンマドとの直接的な霊的交信を重視しますが、歴史的には、シャイフ・アブド・アッズィーズ・アル＝ダッバーグ（1719年没）のハーディリー教団と同様に、シャーディリー教団との深いつながりがあります。

影響範囲

イドリース教団はメッカを拠点として活動を開始し、その影響はリビア、エジプト、スーダン、東アフリカ（ソマリア、エリトリア、ケニア）、イエメン、レバント（シリア、レバノン）、東南アジア（マレーシア、シンガポール、ブルネイ）など広範囲に及びました。さらに、イタリアやイギリスなど、他の地域にも分派の信者が存在します。

イブン・イドリースの礼拝方法は、スーフィー教団の中でも広く賞賛されており、彼に直接関連のない祈祷や著作の作法にも取り入れられています。シンガポールでは、シャイフ・ムハンマド・サイード・アッ＝リンギー（1926年没）の信者によってイドリース教団の教えが広められました。

分派

イドリース教団からは、以下のような多くの分派が生まれました。

サヌーシー教団
ハトミー教団（ختمية、ミルガーニー教団 - Mirghaniyyaとしても知られる）
ダンダラウィー教団（Dandarawiyya）
サーリヒー教団（Salihiyya）
* ジャアファリー教団（Ja'fariyya）

これらの分派は、それぞれの地域や文化に合わせて教義や実践を発展させ、多様な展開を見せています。

まとめ

イドリース教団は、アフマド・イブン・イドリースによって創設された、直接的な霊的繋がりを重視するスーフィズム教団です。その影響は広範囲に及び、多くの分派を生み出し、イスラム神秘主義の世界に大きな足跡を残しました。

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