イナゴタワー

イナゴタワーとイナゴ投資家とは

イナゴタワーとは、イナゴ投資家と呼ばれる個人投資家たちが引き起こす独特な株価チャートの形状を指します。この用語は、個人投資家が特定の有価証券を巡って急激な取引を行う様子を表現しており、そのチャートはタワーのような形状を持つことから名付けられました。

イナゴタワーの形成過程

イナゴタワーは、主に情報が広がるテレビやSNSなどのプラットフォームで始まります。特定の銘柄についてのニュースがきっかけとなり、多くの個人投資家が一斉に株を売買します。この結果、株価は急騰しますが、その後すぐに利益を確定させた投資家たちが売りに転じるため、株価は急落することがよくあります。この様子は、イナゴが稲穂に群がり、一夜にしてそれを食い尽くして飛び去る様子に例えられています。

こうした取引の流れが株価チャートに反映され、上下動が繰り返されることで、平行な峰や谷が連なったようなタワーの形状を形成します。実際に、このタワーが形成されると、暴騰の前の株価を割り込むことが多く、元の水準に戻るまでにはかなりの時間がかかるのが通例です。

このタワーを形成する銘柄の特徴

イナゴタワーが形成される銘柄には、いくつかの共通の特徴があります。松井証券の窪田朋一郎は、以下の3つの条件が当てはまる銘柄がその傾向にあるとしています。
1. 時価総額が100億円未満で赤字であること。
2. 利益額が非常に小さいこと。
3. PER（株価収益率）等で判断できない小型株であること。
これらの条件を持つ銘柄は、少額の売買でも株価が大きく動きやすいため、個人投資家の間でも特に注目されがちです。

イナゴ投資家の特徴と増加の背景

イナゴ投資家とは、主に短期で材料株の取引を行う個人投資家のことを指します。彼らは、特に信用取引の規制緩和によって出現した新しいタイプの投資家です。2013年以降の信用取引無限回転の導入により、通常の取引に比べて積極的に何度でも新規の売買が可能になったため、短期的な利益を追求する投資家が増えました。

また、東証の主力銘柄において値刻みが0.1円単位まで縮小されたことも、イナゴ投資家の取引を活性化させる要因となりました。それによって、短期で小さな利ザヤを取ることが容易になり、さらに多くの個人投資家がこの戦略に乗り出すようになったのです。

イナゴ投資家の多様な行動

イナゴ投資家の行動は多岐にわたります。彼らには異なるタイプが存在し、例えば「高速イナゴ」や「下級イナゴ」など、多様な特徴を持つ投資家がいます。それぞれは情報の受け取り方や取引のスピードにおいて異なるスタイルを持ち、自らのスタンスで取引に参加しています。「共食いイナゴ」は、他の投資家に売りつけて利益を得る手法を用いるなど、様々な働きかけによって市場を動かす場合もあります。

イナゴタワーと法的な観点

イナゴタワーを形成する過程において、SNSでの投稿が相場操縦の観点から問題視されることもあります。特に、意図的に情報を流布することで相場に影響を与えようとする行為は、法律のグレーゾーンに触れる可能性があります。過去のケースでも、インターネット掲示板での相場操縦が立件された事例があります。

結論

イナゴタワーは、個人投資家の行動と市場の変動が密接に関連する現象です。これにより株価は急激に上下し、その様子はチャートにタワーのような形で残ります。情報の力とその活用が、個人投資家の取引における重要な要素となっています。

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