イノブータン王国

イノブータン王国：遊び心と真剣勝負の町おこし戦略

和歌山県すさみ町は、過疎化対策と観光振興を目的に、ユニークな町おこし戦略として「イノブータン王国」を誕生させました。これは単なるイベントではなく、建国宣言書の作成、友好条約の締結、独自の通貨単位や年号制度など、徹底的に作り込まれた世界観を持つ、架空国家です。愛称は「イブ王国」。

イノブータン王国の歴史と活動

イノブータン王国は、1981年に開催された「イノブータンダービー」というイノブタを題材としたイベントが起源です。1986年3月4日、当時の首相に建国宣言書が手渡され、翌日に通商産業大臣と友好条約を締結。5月4日に建国を宣言しました。しかし、外務省からはブータン王国への配慮から名称変更を要請され、1990年からは愛称「イブ王国」を使うようになりました。

毎年5月3日には建国記念祭とイノブータンダービーが開催され、その他にも夏祭り、運動会、通常国会、グルメンピックなど、様々なイベントが年間を通して行われています。新型コロナウイルスの影響により、2020年から2022年までは建国記念祭が中止となりましたが、2023年には再開。しかし、イノシシとブタの交雑種であるイノブタの飼育頭数減少により、2024年のイノブータンダービーは中止となりました。

王室と政府

イノブータン王国には、イノブータン大王、キララ王妃、サミー君、イブちゃんの4体のイノブタファミリーがいます。「王と王妃」は写実的なデザインで、「サミー君とイブちゃん」はコミカルなデザインと、異なる路線のデザインが特徴です。王と王妃は道の駅イノブータンランド・すさみ（イノブータン城）に鎮座しており、いつでも謁見できます。

国王であるイノブータン大王は、イギリスのタイムズ紙において20世紀の100人に選ばれたと主張していますが、これは事実とは異なります。一方、王妃キララ、筆頭執事サミー君、サミー君の恋人イブちゃん、その他閣僚については王国の公式ウェブサイトを参照ください。

国旗、国歌、そして建国宣言書

国旗と建国宣言書は、王国の公式ウェブサイトでご確認ください。「GO! GO! ブータン」が国歌です。

施設の改称

すさみ町の様々な施設がイノブータン王国にちなんで改称されています。例として、JR周参見駅は「入国管理所」、道の駅すさみは「イノブータン城」、県道243号日置川すさみ線の一部は「イブロード」、和歌山県農林水産技術センター・畜産試験場は「イノブタ君の家」などに変更されています。「イノブータン王国陸上クラブ」というクラブも存在します。

イノブタの誕生と通貨単位

イノブタは1970年に、イノシシとブタの間に誕生しました。王国の通貨単位は「ブータン」で、100ブータンは100円に固定されています。年号は「猪豚」で、猪豚元年は1986年。それ以前は紀元前とされています。

関連商品

イノブータン王国では、パスポート（300円）、Tシャツ、キーホルダー、ランチバッグ、国歌カセットテープなどのグッズを販売しています。これらは道の駅イノブータンランド・すさみなどで購入でき、外貨獲得に貢献しています。また、国歌「GO! GO! ブータン」は携帯電話の着信メロディーとしても配信されています。

まとめ

イノブータン王国は、遊び心と真剣さを持ち合わせた、すさみ町のユニークな町おこし戦略です。イノブタをテーマにしたイベントやグッズ、改称された施設などを通して、町の活性化と観光振興に貢献しています。その独特な世界観は、多くの観光客を魅了し続けています。

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