イブキマイカグラ

イブキマイカグラは、日本の競走馬、種牡馬として知られています。1990年の阪神3歳ステークス、1991年の弥生賞、そしてNHK杯と、数々の重賞競走で勝利を収めました。

特に阪神3歳ステークスは、東西で牡牝混合の3歳王座決定戦が行われていた時代の最後の優勝馬という特別な意味を持っています。当時、ライバルとして名を馳せていたトウカイテイオーとの競争は、競馬史に名高いエピソードとして語り継がれています。イブキマイカグラは、その力強い末脚で観客を沸かせましたが、世代のレベルの高さと、幾度かの故障に見舞われた不運が重なり、クラシックタイトル獲得という夢は叶いませんでした。

デビュー戦となった1990年7月、小倉競馬場の新馬戦では、高い期待を背負い圧倒的1番人気に推されましたが、スタートで出遅れ、7着という結果に終わります。しかし、続く新馬戦では初勝利を挙げ、才能の一端を垣間見せます。その後、野路菊ステークスで2着、黄菊賞では4コーナーで大きく外に膨れながらも、驚異的な末脚で差し切り勝利。このレースでの末脚は関係者の間で大きな話題となり、大きな自信へと繋がりました。デイリー杯3歳ステークスでは、当時の関西3歳牡馬陣に確固たる存在がなく、有力牝馬が台頭する中、3着という結果でした。このレースでは、鞍上の南井克巳騎手は将来を見据えたレース運びを行いました。そして迎えた阪神3歳ステークス。有力牝馬ミルフォードスルーに次ぐ2番人気に支持され、後方からレースを進め、最後の直線で内を突いて力強い末脚を発揮。ニホンピロアンデスに1馬身4分の1差をつけ、1分34秒4というレースレコードで勝利を飾りました。しかし、同日に行われた朝日杯3歳ステークスでリンドシェーバーがレコードを更新したため、JRA賞最優秀3歳牡馬の座はリンドシェーバーが獲得しました。

翌1991年春、イブキマイカグラは弥生賞に挑みます。このレースには、最優秀3歳牡馬候補のリンドシェーバーも出走しており、クラシックへの出走権を持たない外国産馬ながら、早くから種牡馬シンジケートが組まれるなど、大きな注目を集めていました。イブキマイカグラは、リンドシェーバーとの直接対決を制し、シンボリルドルフと同じ勝ちタイムで勝利。この勝利は、東西対抗意識が色濃く残る中、西のチャンピオンとしての力を示すものとして大きな意味を持ちました。弥生賞制覇により、皐月賞への切符を手に入れたイブキマイカグラでしたが、そこで待ち受けていたのは無敗のトウカイテイオーでした。皐月賞では、スローペースと直線での不利が重なり、トウカイテイオーの4着に敗れましたが、その後NHK杯を制し、日本ダービーへの期待が高まりました。しかし、ダービー直前に軽度の骨折が判明し、出走を断念せざるを得ませんでした。

骨折からの復帰後、秋シーズンでは京都新聞杯でナイスネイチャに敗れ2着、菊花賞でもレオダーバンに屈し2着という結果に終わります。1992年には産経大阪杯、天皇賞（春）と出走しましたが、思うような結果を残せず、安田記念では二桁着順という悔しい結果に終わりました。その後、屈腱炎を発症し、惜しまれつつも引退。種牡馬としての道を歩み始めました。種牡馬としてはゴールデンイースト（埼玉新聞杯）、イブキライズアップ（高知県知事賞）など、活躍馬を輩出しましたが、2003年に種牡馬登録を抹消されました。その後は、功労馬として余生を送り、2009年6月24日、急性心不全のため死亡しました。

イブキマイカグラは、その華々しい競走馬としてのキャリアだけでなく、種牡馬としての活躍、そして競走馬としての才能と血統の素晴らしさを後世に残しました。その名と活躍は、競馬史に永遠に刻まれることでしょう。その母であるダイナクラシックの全兄にはアンバーシャダイ、全妹にはサクラバクシンオーの母であるサクラハゴロモがいます。また、半妹のクラシカルテーストからは、ファルコンステークス優勝、NHKマイルカップ2着のインパルスヒーローが出ています。これらの血統からも、イブキマイカグラの優れた遺伝子が伝わっていることが分かります。

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