イベリスモ

イベリスモ：スペインとポルトガルの統合運動

イベリスモは、イベリア半島に位置するスペインとポルトガルが、政治的に統合を目指す運動です。19世紀中頃から両国の知識人を中心に提唱され始めました。

歴史的背景と共通点

スペインとポルトガルは、言語、文化、歴史において多くの共通点を持ちます。

共通のルーツ: ケルト人やイベリア人が先住民であり、ローマ帝国の支配を経て、西ゴート王国の領土となりました。その後、イスラム勢力の侵攻を受けましたが、キリスト教徒によるレコンキスタ（国土回復運動）を通じて領土を拡大しました。
言語の近さ: スペイン語（カスティーリャ語）とポルトガル語は、ロマンス語派に属し、互いによく似ています。スペイン北西部のガリシア地方では、ポルトガル語に近いガリシア語が話されています。
宗教: 両国ともにカトリックが主要な宗教であり、大航海時代には海外でのカトリック宣教を積極的に行いました。
同君連合時代: 1580年から1640年まで、スペイン・ハプスブルク家がポルトガル王を兼ねる同君連合の時代がありました。

統合の試みと挫折

19世紀には、両国の知識人を中心に様々な政治統合の試みが行われましたが、実現には至りませんでした。その背景には、それぞれの国のアイデンティティや政治的な思惑の違いがありました。

近年の動向

近年、イベリスモの動きは沈静化していましたが、ノーベル文学賞を受賞したポルトガルの作家、ジョゼ・サラマーゴがスペインとポルトガルの政治統合について言及したことで、再び注目を集めています。

現代の両国

20世紀には、両国とも軍事独裁体制を経験しましたが、1970年代に民主化を果たしました。1986年には欧州共同体（EC、現在のEU）に同時加盟し、EUの一員として協調関係を築いています。また、イベロアメリカ首脳会議を通じて、ラテンアメリカ諸国との関係も強化しています。

イベリスモの意義

イベリスモは、歴史的、文化的、言語的なつながりの強いスペインとポルトガルが、政治的に統合することで、より大きな力を発揮できるという思想に基づいています。統合の実現には様々な課題がありますが、両国の関係をより深めるための議論は、今後も続いていくと考えられます。

関連項目

* イベリア半島

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