イボンヌ・グーラゴング

イボンヌ・グーラゴング：アボリジニの星、テニス界に輝く

イボンヌ・グーラゴング（Evonne Goolagong, 1951年7月31日 - ）は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州グリフィス出身の女子プロテニス選手です。フルネームはEvonne Fay Goolagong Cawley（イボンヌ・フェイ・グーラゴング・コーリー）。アボリジニの血を引く彼女は、その卓越した才能と不屈の精神で、テニス界に輝かしい足跡を残しました。

生い立ちとテニスとの出会い

グーラゴングは、アボリジニの貧しい家庭に8人兄弟の3番目として生まれました。家族は羊毛刈りの仕事に従事し、テニスとは縁遠い生活を送っていました。しかし、ある日、彼女がテニスコートを眺めているのを見かけた人が、テニスを勧めたことがきっかけで、グーラゴングはテニスの世界へと足を踏み入れます。シドニーのテニススクールを経営するビクトル・エドワーズは、彼女の才能を見抜き、両親を説得して養女として引き取りました。エドワーズの指導のもと、グーラゴングは才能を開花させていきます。

グランドスラム制覇と世界での活躍

1971年、グーラゴングは全仏オープンとウィンブルドンでグランドスラム2連勝を達成し、一躍世界のトッププレーヤーの仲間入りを果たします。全仏オープンではヘレン・グーレイ、ウィンブルドンではマーガレット・コートを破り、その実力を証明しました。その後も、1974年から1977年まで全豪オープン4連覇を達成するなど、数々のタイトルを獲得。しかし、全米オープンでは4年連続で準優勝に終わり、タイトルには手が届きませんでした。

結婚、出産、そしてウィンブルドン制覇

1975年、グーラゴングはロジャー・コーリーと結婚し、「イボンヌ・グーラゴング・コーリー」としてプレーするようになります。結婚後もテニスへの情熱は衰えず、1977年には長女を出産。出産後すぐに競技生活に復帰し、同年の全豪オープンで4連覇を達成しました。そして、1980年、グーラゴング・コーリーはウィンブルドンで9年ぶり2度目の優勝を果たします。準決勝でトレーシー・オースチン、決勝でクリス・エバート・ロイドを破っての優勝は、彼女のキャリアにおけるハイライトの一つとなりました。母親としてウィンブルドンを制覇したのは、大会史上初の快挙でした。

引退後

グーラゴングは、女子テニス国別対抗戦「フェデレーション・カップ」でもオーストラリア代表として活躍し、3度の優勝に貢献しました。1983年に32歳で現役を引退し、1988年には国際テニス殿堂入りを果たしました。1993年には自伝を発表し、ベストセラーとなっています。

世界ランキング1位の認定

女子テニス協会（WTA）のコンピューター・ランキング制度が1973年に開始されましたが、その初期の1976年にグーラゴングが2週間世界ランキング1位だったことが、長らく忘れられていました。しかし、2007年にこの事実が明らかになり、グーラゴングは31年越しに正式な「世界ランキング1位」として認定されました。

イボンヌ・グーラゴングは、アボリジニの誇りであり、世界中の人々に勇気と希望を与え続ける、不屈のテニスプレーヤーです。

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