クリス・エバート

クリス・エバート：氷の微笑と情熱のテニス

クリス・エバート（Chris Evert）は、1954年12月21日、アメリカ・フロリダ州フォートローダーデール生まれの元女子プロテニス選手です。本名はクリスティン・マリー・エバート（Christine Marie Evert）。愛称は「クリッシー（Chrissie）」です。彼女は、その冷静沈着なプレースタイルと、正確無比なボールコントロールで、1970年代から1980年代にかけての女子テニス界を席巻しました。

輝かしいキャリア

エバートの四大大会シングルス優勝回数は、マルチナ・ナブラチロワと並ぶ歴代4位タイの18回を誇ります。中でも全仏オープンでは、女子シングルス最多となる7回の優勝を果たし、「クレーコートの女王」としてその名を世界に轟かせました。WTAツアーでのシングルス通算勝利数154勝は歴代2位の記録です。

プレースタイル

「アイス・ドール（氷の人形）」というニックネームは、彼女の冷静さを象徴しています。常にポーカーフェイスを貫き、対戦相手に一切の隙を見せないクレバーなテニスは、多くのファンを魅了しました。特に、球足の遅いクレーコートを得意とし、正確なボールコントロールとコースを突く戦略で、数々の勝利を積み重ねました。全仏オープンでの圧倒的な強さから、「パリの恋人」とも呼ばれました。

プロとしての道のり

元プロテニス選手の父ジミー・エバートの指導のもと、クリスは幼い頃からテニスに親しみました。妹のジャンヌ・エバートもプロテニス選手です。18歳の誕生日にプロ転向後、1974年の全仏オープンで四大大会初優勝を飾ると、その年のウィンブルドンも制覇。その後も全米オープン4連覇（1975年-1978年）など、数々のタイトルを獲得しました。

ナブラチロワとのライバル関係

1980年代に入ると、マルチナ・ナブラチロワが台頭し、エバートとの間で激しいライバル関係が繰り広げられました。2人は生涯で80回対戦し、ナブラチロワが43勝37敗とわずかに勝ち越しましたが、その戦いは常に女子テニス界の注目を集めました。

引退とその後

1986年の全仏オープンで、31歳にして最後のグランドスラムタイトルを獲得。1974年から1986年まで13年連続で四大大会で優勝するという女子テニス史上最長記録を打ち立てました。1989年に34歳で現役を引退。同年10月にはフェデレーション・カップでアメリカチームを優勝に導き、有終の美を飾りました。1995年には国際テニス殿堂入りを果たしています。

主な記録

グランドスラム決勝進出回数：34回（歴代1位）
グランドスラム13年連続タイトル獲得（歴代1位）
同じ年の4大大会すべてベスト4進出：5回（単独記録）
全仏オープン優勝回数：7回（歴代1位）
全米オープン4連覇：1975年-1978年（歴代1位）
クレーコートタイトル獲得数：70回
クレーコート連勝回数：125回（1973年-1979年）
通算クレーコート勝率：94.55%(382-22)
全米オープン31連勝（歴代1位）：1975年-1979年
全米オープン46セット連取（歴代1位）：1975年-1979年

人生と結婚

エバートは、ジョン・ロイドとの結婚、離婚を経て、アルペンスキー選手アンディ・ミルと再婚。3人の子供をもうけましたが、再び離婚。その後、プロゴルファーのグレグ・ノーマンと3度目の結婚をしましたが、短期間で離婚しています。

クリス・エバートは、その卓越したテニススキルと美貌、そして常に冷静沈着なプレースタイルで、世界中のテニスファンを魅了し続けました。彼女の残した数々の記録と功績は、女子テニス界の歴史に永遠に刻まれることでしょう。

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