『イマココニアルモノ』
Sound Scheduleが
2002年7月10日にDANGUY RECORDSから世に送り出した本作は、彼らにとってメジャー移籍後、初めて発表されたオリジナルフル
アルバムです。通算では2枚目の
アルバム作品となります。
前作であるインディーズ時代の
アルバム『
ここからはじまるストーリー』から約1年8ヶ月の期間を経て制作された『イマココニアルモノ』は、「その時点でメンバー3人が表現できる音の全てを、飾り気なく、そして力強く打ち出す」という明確な意図のもとに生み出されました。これは、メジャーという新たなステージに立ったバンドの、揺るぎない決意表明とも言えるコンセプトです。
この
アルバムは、
Sound Scheduleの持つ音楽的な幅広さと、スリーピースバンドならではのダイナミズムが見事に融合した楽曲群で構成されています。既に
シングルとして発表され、ファンに親しまれていた楽曲に加え、インディーズ時代からの楽曲を新たにアレンジし直したもの、そして本作のために書き下ろされた新曲がバランス良く配置されており、初期
Sound Scheduleの魅力を凝縮した一枚となっています。
収録曲
『イマココニアルモノ』には、以下の全12曲が収録されています。それぞれの楽曲に、バンドのメッセージやサウンドへのこだわりが込められています。
幼なじみ [4:30]: メジャー3rd
シングルとして発表された、爽やかなメロディが印象的な楽曲です。
世直しブッダ [3:48]
月が落ちる前に... [4:27]
ちょっとだけ [5:10]: コンピレーション
アルバム『神戸芸術本舗 VOL.2』に収められていた楽曲を、本作のために改めてレコーディングし、新たな息吹が吹き込まれたバージョンです。
君という花 [4:13]: メジャー2nd
シングルとしてリリースされた、温かいバラードです。
大学物語 [3:28]
流星群 (sound effects) [1:27]: 演奏曲ではなく、バンド自身が編曲を手掛けたサウンドエフェクトトラックです。
愛のかたち [5:02]: インディーズ時代の
アルバム『
ここからはじまるストーリー』に同名で収録されていた楽曲を、本作に際してリメイクしたバージョンです。
マザーコンプレックス [4:27]
吠える犬と君 [4:40]:
Sound Scheduleのメジャーデビュー
シングルとして発表され、彼らのメジャーキャリアの幕開けを飾った代表曲の一つです。
恋焦がれ [3:59]
今ココにあるもの [5:13]:
アルバムのタイトルを冠した楽曲であり、歌うことの本質的な感情を、一切の飾りなくストレートに表現した一曲です。また、この曲は
Sound Scheduleの楽曲として初めてラジオでオンエアされたという、バンドの歴史においても記念すべき存在です。
『イマココニアルモノ』は、
Sound Scheduleがメジャーシーンにおいてその音楽性を確立し、多くのリスナーに受け入れられていく上での重要な基盤となった作品です。ライブでの彼らの情熱的なパフォーマンスと、楽曲が内包する普遍的なメロディや歌詞世界が融合したこの
アルバムは、リリースから長い年月が経過しても、今なお多くのファンにとって特別な一枚であり続けています。
特筆すべき出来事として、
アルバム発売から20年以上を経た2022年10月に行われたワンマンライブツアー『PLACE2022』では、本作の収録曲全曲をライブで再現するという試みが行われました。これは、この
アルバムがバンド自身にとって、そして長年応援し続けているファンにとっても、いかに深く心に刻まれた作品であるかを明確に示しています。過去の作品に再び光を当て、それを現在のライブで表現するというイベントは、作品の持つタイムレスな魅力と、バンドとファンとの強固な絆を象徴する出来事でした。
本作に収められた楽曲たちは、
Sound Scheduleの初期の衝動と、彼らが「今、この場所で」鳴らす音を全力で響かせようとした確かな軌跡を物語っています。彼らの音楽的なルーツや変遷を辿る上でも、そしてシンプルに良質なポップミュージックを楽しむ上でも、『イマココニアルモノ』は欠かすことのできない、価値ある一枚と言えるでしょう。