イメーション

グラスブリッジ・エンタープライズ（旧イメーション）の歴史

グラスブリッジ・エンタープライズ（GlassBridge Enterprises, Inc.、NYSE:IMN）は、アメリカ合衆国ミネソタ州に本社を置く、コンピュータ関連製品の製造・販売を行う企業です。かつてはイメーション（Imation Corp.）という社名で知られていました。ここでは、旧イメーション株式会社（Imation Corporation Japan）についても触れていきます。

起源と事業展開

イメーションのルーツは、米スリーエム社（3M）の磁気式記録媒体事業にあります。スリーエムがこの分野から撤退する際、1996年に事業を受け継ぐ形でイメーションが設立されました。日本では、スリーエムとの合弁会社であった住友スリーエムが、イメーション株式会社を設立しました。当初、日本法人はデータストレージシステム、メディカルイメージング、プリンティングシステム事業を主力としていました。

事業再編とTDKとの関係

1998年、イメーション日本法人は経営資源の集中を図るため、メディカルイメージング事業をイーストマンコダックに譲渡しました。2001年にはカラーテクノロジープリンティング事業もコダック関連企業に譲渡しました。2007年には、TDKが記録媒体事業からの撤退を模索していたため、イメーションはTDKの記録メディア販売部門とブランド使用権を取得しました。この取引により、TDKはイメーションの筆頭株主となりましたが、完全に子会社化はせず、他の有力企業との事業関係も維持しました。しかし、2015年にはTDK Life on Recordブランドを返上し、TDKの株式を買い戻しました。

2008年1月には、イメーションがTDKマーケティングを吸収合併し、以後の記録メディア製品にはTDKロゴの下に「Life on Record」が小さく付記されるようになりました。

事業方針の転換と撤退

2015年9月、イメーションはデータストレージ装置NEXSANとセキュリティソリューションIronKeyの製品事業に経営資源を集中させることを発表。同年12月末をもって記録メディア・オーディオ機器事業から撤退し、日本を含む各国の現地法人を解散しました。しかし、2010年からは2つのビジネスユニットを軸に事業を展開していました。2017年2月には、現在の社名であるグラスブリッジ・エンタープライズに変更。同年4月にはイメーションの商標を韓国企業に売却しました。日本法人も2019年11月、完全に清算され、日本市場から撤退しました。

主なビジネスユニットと製品

イメーションは、以下の2つのビジネスユニットを中心に事業を展開していました。

TSS (Tiered Storage and Security Solutions) ビジネスユニット:
コマーシャル、エンタープライズ、公共・医療市場向けに、磁気テープメディア製品、RDXリムーバブルハードディスク製品、Nexsanストレージ製品、IronKeyモバイルセキュリティ製品を提供していました。
CSA (Consumer Storage and Accessories) ビジネスユニット:
TDK Life on Recordブランドで、コンシューマ向け光ディスク製品、フラッシュメモリ製品、オーディオ製品などを扱っていましたが、2015年12月までに撤退しました。



主な製品としては、企業向けにはデータテープ、ハードディスク、フラッシュメモリなどのストレージ製品、個人向けにはUSBメモリ、Blu-ray Discメディア、DVDメディア、SDメモリーカードなどがありました。また、ストレージソリューションとして、医療機関向けのシステム構築、設置・導入、保守・サポートなども提供していました。

主要ブランド

イメーション: 企業向けストレージ製品のブランド。
NEXSAN: 大容量データの保存に適したストレージ製品で、2013年に買収。
IronKey: モバイルセキュリティ製品。
TDK Life on Record: コンシューマ向け記録メディアブランドで、2015年に撤退。
XtremeMac: Apple製品向けアクセサリーブランドで、イメーションに統合された。
メモレックス: かつてZipドライブ用メディアやCD-Rメディアを販売していたブランド。

TDK Life on Recordブランドの終焉

TDK Life on Recordブランドは、2007年にイメーションがTDKの記録メディア販売事業を買収したことにより誕生しました。光ディスク、フラッシュメモリ、ヘッドホンなど幅広い製品を展開しましたが、2011年のタイの大洪水の影響で磁気テープ製造事業から撤退し、2015年にブランドを終了しました。

現在

グラスブリッジ・エンタープライズは、過去の記録メディア事業から転換し、データストレージとセキュリティソリューションに特化した企業として活動を続けています。

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