イメージエポック

イメージエポック株式会社：栄光と挫折の軌跡

イメージエポック株式会社は、コンピューターゲームの企画、開発、販売、受託を主な事業としていた日本の企業でした。2004年8月に合資会社として設立され、セガ出身のベテラン開発者も参加するなど、高い技術力と意欲に満ちたスタートを切りました。

当初はグラフィックデザインを受託するなど、着実に実績を積み重ね、2005年には株式会社に改組。2006年からは本格的にゲーム開発事業に注力し、ニンテンドーDS用ソフト『ルミナスアーク』を皮切りに、数々のタイトルを世に送り出しました。

任天堂プラットフォームでの成功を背景に、事業は順調に拡大。2007年には社屋を移転し、開発体制の強化を図りました。Wii用ソフト『アークライズファンタジア』まで、任天堂プラットフォームが中心でしたが、その後はPSPなどのSCEプラットフォームにも参入、パブリッシャーとしての活動も開始するなど、事業領域を積極的に拡大していきました。

オンラインゲーム分野にも進出し、ブラウザゲームやニコニコアプリ向けのゲーム開発にも取り組みました。代表の御影良衛氏を筆頭に、若い開発者たちが中心となって、数多くのRPGタイトルを開発。特定のジャンルに固執することなく、幅広い展開を目指していました。

しかし、2010年3月期にはソフト開発の失敗などが原因で4億5197万円の最終赤字を計上、債務超過に陥りました。この頃から社内には派閥争いが発生し、開発現場の雰囲気は悪化。「作りたいゲームを作る」という当初の理念は薄れ、「失敗しないゲームを作る」という保守的な姿勢が強まりました。

経営悪化は深刻で、多くの部門が赤字に苦しむ中、デザイン部だけが黒字を維持していました。この状況を打開すべく、デザイン部の責任者である小村氏は独立を計画。しかし、その計画は御影氏に伝えられたものの、会社を揺るがすクーデターとみなされ、小村氏は会社を追放されることとなりました。その後、小村氏は株式会社ワンオアエイトを設立しました。

2012年頃には、経営陣に人員削減などの提言がありましたが、御影氏はそれを拒否。2013年頃にはスマートフォンゲームへの移行も模索しましたが、コンシューマーゲームとの開発文化の違いに苦戦し、挫折しました。

下請け企業への未払い問題や、開発スタッフの相次ぐ退社などが経営を更に圧迫し、『ルミナスアーク』シリーズの開発元もイメージエポックから他社に移りました。

2014年10月には10周年記念タイトル『STELLA GLOW』を発表しましたが、大型プロジェクトの中止や、既存タイトルからの収益不足などが重なり、2015年春には破産を覚悟せざるを得ない状況に陥りました。

2015年1月には会社清算の噂が業界を駆け巡り、2月には本社オフィスが閉鎖、連絡が取れなくなる事態に発展しました。『STELLA GLOW』のスタッフも他社に転籍しました。4月には公式ウェブサイトへのアクセスも不可能になり、アイディアファクトリー代表の佐藤嘉晃氏から、御影氏への連絡を求める異例のツイートが投稿される事態となりました。

そして2015年5月7日、イメージエポックは関連会社と共に東京地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。総負債額は11億300万円にのぼりました。

『STELLA GLOW』はセガによって引き継がれましたが、フリーランスのスタッフや外注会社への未払いなどが残るなど、多くの関係者へ影響を与えました。御影氏については消息不明となり、様々な噂が飛び交うこととなりました。

イメージエポックの破産は、日本のゲーム業界に衝撃を与えました。若手中心の開発体制、数々のヒットタイトル、そしてその後の急激な衰退は、ゲーム業界の成功と失敗の両面を改めて考えさせる一例となりました。 イメージエポックが開発に関わった主なタイトルには、『ルミナスアーク』シリーズ、『アークライズファンタジア』、『ラストランカー』、『STELLA GLOW』などがあります。これらの作品は、同社の技術力とクリエイティビティの高さを示すものですが、同時に、企業経営の難しさも物語っています。

もう一度検索