イラクの地方行政区画

イラクは、19の県（アラビア語: محافظة、muḩāfaz̧a）と、自治地域であるクルディスタン地域によって構成されています。クルディスタン地域には、アルビール県、ドホーク県、スレイマニヤ県、ハラブジャ県の4県が含まれています。現行のイラク憲法は連邦制国家を規定していますが、自治権が中央政府から譲渡されているのはクルディスタン地域のみであり、連邦制という概念自体がイラク全土に浸透しているとは言えない状況です。

県の下位区分

各県は、さらにカダー（قضاء, qaḑāʾ）と呼ばれる自治体に分割されています。カダーは、県の下位に位置する行政単位です。

新しい県の追加について

過去には、クウェートがイラクに併合された際、クウェート県（Kuwait Governorate）が設置されました。この県は、カーズィマ、アルジャハラ、アルアフマデの3つの行政区域に分けられ、一部はバスラ県に編入されました。しかし、湾岸戦争の結果、クウェート県は消滅し、クウェートは独立を回復しました。

2014年には、スレイマニヤ県を分割し、ハラブジャ県（Halabja）という新しい県が設置されました。これにより、イラクの県は19となりました。しかし、この時期はISILなどの武装勢力による内戦で国内が混乱しており、ハラブジャ県の整備は遅れています。

また、イラク政府はハラブジャ県の他に、トゥズ・クォーマート県（Tuz Khormato）、ファルージャ県（Fallujah）、ニーナワー平原県（Nineveh plains）の3県の設置も決定しました。これらの県が設置されれば、イラクは22県体制となりますが、これらの県は設置が決定したものの、実際にはまだ設置には至っていません。


イラクの行政区分は、中央政府の権限と地方自治のバランスを模索する中で、複雑な歴史的経緯と国内の不安定な情勢によって、常に変化している状況と言えるでしょう。

関連項目

ISO 3166-2:IQ
イラクの都市の一覧

もう一度検索