バスラ

バスラ（アル＝バスラ）

バスラは、イラクの南東部に位置する重要な港湾都市で、シャットゥルアラブ川の右岸に広がっています。この都市はイラク第2の都市として知られ、バスラ県の県都でもあります。バスラは石油パイプラインの終点であり、石油製品の積出港としても機能しています。また、メソポタミア南部で生産される穀物やナツメヤシの輸出港としての役割を果たしているため、国の経済にとって極めて重要な地域です。著名な出身者には、著名な科学者や文人が多数存在します。

歴史

バスラの歴史は古代にさかのぼります。人類最初の王権が成立したとされるエリドゥがこの地に存在していました。バスラ自体は638年に第2代正統カリフ、ウマル1世によって設立され、イスラム史上初の軍営都市として知られています。最初の市街地は、現在のズバイルと呼ばれる地域にあったとされています。バスラは当初、イラン領からの征服と統治の拠点として機能し、後にはペルシャ湾へアクセスする貿易港としての役割を果たしました。アッバース朝時代には、人口が30万人を超え、地域の重要な貿易の中心地となりましたが、乱や侵略によって衰退しました。13世紀にはアッバース朝が滅び、その後は廃墟状態となりました。1668年にオスマン帝国によって再建されたバスラは、補給基地としてイギリスに占領され、原油の積出港として再び栄えました。

地理

バスラはペルシャ湾から55キロ離れており、イラクの首都バグダッドから545キロの位置にあります。この都市には多くの運河が整備されており、いわば中東のベニスとも称されています。これらの運河はバスラで生産されるナツメヤシの質向上に貢献しています。

気候

バスラの気候は砂漠気候に分類されますが、ペルシャ湾に近いため、冬季の降雨量は内陸部に比べて多めです。夏の暑い時期には最高気温が38℃以上に達することがありますが、冬は21℃以下になることもあります。降水量は5月から10月にかけてほぼゼロで、11月から4月には月間30mm前後となります。古い記録によれば、1921年には最高気温53.8℃が記録されていますが、58.8℃というデータの信憑性については争点となってきたこともあります。

産業

バスラは豊富な石油資源を有しており、世界的な油田地帯の1つです。都市内の製油所は、一日あたり約140,000バレルの生産能力を持ち、肥料などの石油化学産業も盛んです。日々200万バレル以上の石油が輸出され、関連する造船や輸送産業も発展しています。農業も活発で、米やトウモロコシなど多様な作物が栽培されています。

交通

バスラにはバスラ国際空港があり、2005年にはバグダッドとの空路が復旧されました。さらに、中国の支援で完成した高速鉄道路線もあり、バグダッドとの交通が効率化されています。

教育

バスラには高等教育機関も存在し、バスラ大学や科学技術に特化した学部があります。教育の充実は、この地域の発展に寄与しています。

スポーツ

スポーツ面では、バスラを拠点とするサッカークラブも存在し、地域の文化活動に不可欠な要素となっています。

このようにバスラは多様な歴史的背景を持ち、文化や経済、教育などにおいて重要な位置を占めている都市なのです。

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