イルリサット

イルリサットの概要

イルリサット（Ilulissat）は、グリーンランドの西岸中部に位置する町で、アヴァンナータ自治体の中心地です。ここは、シシミウトに次いでグリーンランドで3番目に大きな町で、約5,000人の人口を抱えています。また、北緯69度という北極圏内に属しているため、独特の自然環境を楽しむことができます。かつてはデンマーク語において「ヤコブスハン」（Jakobshavn）と呼ばれていましたが、現在の名称にはグリーンランド語において「氷塊」や「氷山」という意味があります。

町の基盤は、ディスコ湾に直接流れ出るイルリサット・アイスフィヨルド（Ilulissat ice fjord）の河口に位置しており、このフィヨルドは観光名所として知られ、町の経済の大部分は観光業によって支えられています。

歴史

イルリサットの町は、約3,000年前から成立していたことが分かっており、現代の町の成り立ちは1741年にさかのぼります。この年、デンマーク人の宣教師と共に来た商人ヤコブ・セベリンがこの地に交易拠点を設けたことが、町の発展の始まりとされています。

気候

イルリサットの気候は寒冷で、特に冬は厳しい寒さに見舞われます。夏には短い期間に暖かい日が訪れますが、全体として乾燥していることが特徴です。この気温の変化は、観光に訪れる人々にとって重要な要素となります。

イルリサット・アイスフィヨルド

イルリサット・アイスフィヨルドは、町の近くに位置するフィヨルドで、延長約40キロメートルの長さを誇ります。このフィヨルドはディスコ湾に繋がり、東側から西へ流れるヤコブスハブン・イスブレ氷河（Jakobshavn Isbræ glacier）が流れ込んでいます。

ヤコブスハブン氷河は、世界で最も速い動きをする氷河の一つであり、1日あたり約40メートルも移動することが知られています。年間に流出する氷の量は46立方キロメートル以上に達し、轟音を立てながら海に放出されます。この氷河は、グリーンランド氷床の残存の一部であり、氷河の総流出量の中で約10%を占めています。世界のどの氷河よりも多くの量を保持しており、特に南極大陸を除けば、その規模は非常に大きいです。

氷河から流出した氷は、様々な大きさの氷山に分かれます。中には浅海底に接触して、その場に留まるものも存在します。また、外海に出た氷山は海流に運ばれた後、最終的には南へ進み、大西洋に流れ出します。なお、イルリサット・アイスフィヨルドは2004年に世界遺産として登録されています。

世界遺産としての登録基準

このフィヨルドは、以下の二つの基準を満たすことで世界遺産に登録されています。

• - (7) 自然の美しさや重要性を持つ特別な地域として評価されていること。
• - (8) 地球の歴史の重要な段階を示す顕著な例として重要視されていること。主に生物記録や地形の発達に関する重要な地質的過程などが含まれます。

これらの特徴から、イルリサットやイルリサット・アイスフィヨルドは観光客にとって魅力的な目的地となっています。

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