イングリッシュ・ナショナル・オペラ

英国国立歌劇場（English National Opera, ENO）は、ロンドン・コロシアムを拠点とするイギリスを代表するオペラ・カンパニーです。特徴的なのは、すべての演目を英語で上演することです。

沿革

ENOの起源は、1931年に興行師リリアン・ベイリスが設立した「ヴィック＝ウェルズ・オペラ」（Vic-Wells Opera Company）に遡ります。ベイリスは、オールドヴィック劇場とサドラーズ・ウェルズ劇場を拠点にオペラ公演を開始しました。その後、歌劇団は「サドラーズ・ウェルズ・オペラ」（Sadler's Wells Opera Company）と名称を変え、長年にわたり活動を続けました。

1974年、歌劇団は現在の「イングリッシュ・ナショナル・オペラ」へと改称し、新たなスタートを切りました。この名称変更は、オペラ団の活動内容と目標をより正確に反映させるためのものでした。ENOは、英語でのオペラ上演を通じて、より幅広い層の観客にオペラの魅力を伝えることを目指しています。

特徴

ENOの最大の特徴は、すべてのオペラを英語で上演することです。これにより、英語を母語とする観客は、外国語の壁に阻まれることなく、オペラのストーリーや感情を直接的に理解し、共感することができます。また、英語での上演は、オペラを初めて鑑賞する人々にとっても、内容を理解しやすく、親しみやすいものにしています。字幕に頼ることなく舞台に集中できるため、より一体感のある鑑賞体験を提供しています。

音楽監督

ENOは、これまで多くの著名な音楽監督を輩出してきました。コリン・デイヴィス、チャールズ・マッケラス、マーク・エルダー、ポール・ダニエルなど、国際的に活躍する指揮者がENOの音楽を牽引してきました。近年では、2016年からマーティン・ブラビンズが音楽監督を務めていましたが、2023年にENOの人員削減案に抗議して辞任しました。ブラビンズの辞任は、ENOの将来に対する懸念を示す出来事として注目されました。

現在の活動

ENOは、ロンドン・コロシアムでの定期公演を中心に、国内外で幅広い活動を展開しています。古典的なオペラ作品から現代オペラまで、多彩なレパートリーを誇り、常に新しい試みにも挑戦しています。また、教育プログラムやアウトリーチ活動にも力を入れており、次世代のオペラファン育成にも貢献しています。

ENOは、イギリスのオペラ界において重要な役割を果たしており、その英語での上演スタイルは、オペラの普及に大きく貢献しています。今後も、革新的な取り組みを通じて、オペラの魅力を世界に発信していくことが期待されています。

外部リンク

* English National Opera - 公式ウェブサイト

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