インゲボー・ア・ダンマーク (1878-1958)

インゲボー・ア・ダンマーク：王室の絆を紡いだ女性

インゲボー・ア・ダンマーク（1878年8月2日 - 1958年3月11日）は、デンマーク王フレゼリク8世と王妃ロヴィーサの次女として生まれました。彼女は、スウェーデン王子ヴェステルイェートランド公カールと結婚し、スウェーデン王室の一員となりました。

生涯

1897年、インゲボーはカール王子と結婚。この結婚は、母親同士が従姉妹という縁によるもので、当初二人に面識はありませんでした。しかし、彼女はスウェーデンで非常に歓迎されました。その理由は、彼女が国民から人気の高かったカール15世の孫娘であったからです。

1897年から1907年までの間、王妃ソフィアが公の場に姿を現すことが少なく、王太子妃ヴィクトリアが国外に滞在することが多かったため、インゲボーがスウェーデン宮廷のファーストレディとしての役割を担いました。スポーツを愛し、アイススケートや自動車の運転を楽しむなど、アクティブな一面も持ち合わせていました。

インゲボーとカール王子は、互いを尊重し、愛情に満ちた家庭を築きました。子供たちには質素な生活を教え、家事の大切さを教えました。彼女の親しみやすい人柄は、夫の軍関係者だけでなく、国民からも広く愛されました。

1905年、ノルウェーがスウェーデン＝ノルウェー連合から独立を宣言した際、独立政府はカール王子とインゲボーをノルウェーの国王夫妻として迎えたいと考えました。しかし、この計画は実現せず、代わりにインゲボーの次兄であるカール王子がホーコン7世としてノルウェー王に即位しました。その後、インゲボーの次女マッタがホーコン7世の息子オーラヴ5世と結婚し、現在のノルウェー国王ハーラル5世が誕生しました。

1922年、夫妻が投資していた銀行が倒産し、経済的な困難に見舞われましたが、インゲボーは巧みな家計管理でこの危機を乗り越えました。

インゲボーは、3人の君主、すなわちノルウェー王ハーラル5世、ベルギー王ボードゥアン1世、そしてその弟であるアルベール2世の祖母にあたります。また、ルクセンブルク大公妃ジョゼフィーヌ・シャルロットも彼女の孫であり、その息子である大公アンリはインゲボーの曾孫にあたります。

子女

マルガレータ（1899年 - 1977年） - デンマーク王子アクセルと結婚
マッタ（1901年 - 1953年） - ノルウェー王オーラヴ5世と結婚
アストリッド（1905年 - 1935年） - ベルギー王レオポルド3世と結婚
カール（1911年 - 2003年） - エステルイェートランド公、のちベルナドッテ公

インゲボー・ア・ダンマークは、その生涯を通じて、王室間の絆を深め、多くの人々に愛された女性でした。彼女の血筋は、現代の北欧王室に深く息づいています。

参考文献

Lars Elgklou: Familjen Bernadotte. En kunglig släktkrönika (The Bernadotte family. A royal family chronicle;in Swedish)
Staffan Skott: Alla dessa Bernadottar (All of the Bernadottes;In Swedish) (1996)

もう一度検索