インサイド・インフォメーション
アメリカとイギリスのメンバーからなるロック・バンド、フォリナーが1987年12月7日に発表した『インサイド・インフォメーション』は、彼らにとって6枚目のスタジオ・アルバムにあたる作品です。このアルバムは、ルー・グラム（リード・ボーカル、パーカッション）、ミック・ジョーンズ（ギター、キーボード、バック・ボーカル）、リック・ウィルス（ベース、バック・ボーカル）、デニス・エリオット（ドラム）という、1980年代を通じてバンドの核を担ったラインナップが揃った最後のアルバムとしても記憶されています。
本作は商業的にも成功を収め、ビルボード200アルバム・チャートには15位で初登場しました。特にアメリカ国内では100万枚を超えるセールスを記録し、プラチナ・ディスクに認定されています。国際的にも多くの国でチャートの上位にランクインしましたが、全体的なアルバム売上は、1981年に大ヒットした前作『4』以降、下降傾向にあった中のリリースとなりました。
『インサイド・インフォメーション』は、フォリナーの音楽性が変化している時期の作品であり、そのサウンドは、初期のギターを前面に出したハードロック・スタイルから、より洗練され、シンセサイザーやエレクトロニクスを積極的に取り入れた方向へと移行していることを示しています。この変化は、本作からカットされた複数のシングルに顕著に表れています。
アルバムからの最初のシングルとしてリリースされた「セイ・ユー・ウィル」は、バンドの音作りにおける「バランス感覚」の良い例としてオールミュージックから評されました。この楽曲では、バンドの特徴であるロック・ギターのエッジやルー・グラムの力強いボーカルが保たれつつも、シンセサイザーによる重厚な響きや多様なエレクトロニックな質感がサウンドに加わり、よりモダンで滑らかなアレンジが施されています。このシングルは大きな成功を収め、ビルボードHot 100チャートで最高6位に達し、ビルボード・ホット・メインストリーム・ロック・トラック・チャートでは4週間にわたり1位を維持、バンドにとって4番目の同チャートNo.1ヒットとなりました。国際的なチャートでも好調で、ドイツでは22位（バンドにとって歴代3位の成績）、スイス、オランダ、特にノルウェーでは4位を記録しています。CDシングルには、オリジナルのエクステンデッド・リミックス・バージョンも収録されました。
次にシングルカットされた「ウィズアウト・ユー」は、フォリナーとしては比較的ソフトなバラードでした。この曲はHot 100で5位にランクインし、『インサイド・インフォメーション』からのシングルとしては最高のチャート成績を収めています。また、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは、バンドにとって初めてにして唯一の1位を獲得しました。オールミュージックの評価では、従来のフォリナーのバラードに感じられた「独特なロック・タッチ」は控えめになったものの、ルー・グラムの情感豊かでスムーズなボーカルを中心に、シンセサイザーの響きや瞑想的なエレクトリックピアノのリフで構成されている点が言及されています。メインストリームのロック・ラジオでもチャートインし、最高18位を記録しました。Hot 100での5位到達は、その後よりアップテンポな楽曲もリリースされたにも関わらず、バンドにとって現在まで最後のメジャー・ポップ・ヒットとなっています。
アルバムからの3枚目のシングル「ハート・ターンズ・トゥ・ストーン」は、主にロック・ラジオ向けのプロモーションとしてリリースされました。この曲はホット・メインストリーム・ロック・トラック・チャートで7位にランクインしましたが、翌1988年にビルボードHot 100では56位にとどまりました。キャッシュボックス誌はこの曲について、いわゆる「コーポレート・ロック」の範疇に入れられることもあるとしながらも、楽曲としての機能は良好であり、「フォリナーは純粋な独創性では劣るかもしれないが、親しみやすさと明瞭さで勝負している」と評価しています。
本作には全10曲が収録されており、特に表記のない限り、ミック・ジョーンズとルー・グラムの共作によるものです。その中でも「アウト・オブ・ザ・ブルー」は、フォリナーの楽曲カタログにおいて、1980年代の主要メンバーであるルー・グラム、ミック・ジョーンズ、リック・ウィルス、デニス・エリオットの4人全員が作曲クレジットに名を連ねた唯一の楽曲として特筆されます。
レコーディングには中心メンバーの他、ピータ＝ジョン・ヴェテッセ、トム・ベイリー、ケヴィン・ジョーンズ（キーボード類）、ヒュー・マクラッケン（スパニッシュギター）、サミー・メレンディーノ（エレクトリック・パーカッション）、マーク・リヴェラ（サクソフォーン、バック・ボーカル）、イアン・ロイド（バック・ボーカル）といったゲストミュージシャンも参加し、アルバムのサウンドを豊かにしています。
『インサイド・インフォメーション』のリリース後、バンドの中心メンバーはそれぞれの活動を活発化させました。翌年にはルー・グラムがソロ・キャリアで成功を収め、ミック・ジョーンズも自身の作品発表や、ビリー・ジョエルなど他アーティストのプロデュースを手掛けています。このように、本作が1980年代のフォリナーを支えた黄金期メンバーによる最後のスタジオ・アルバムとなったことは、バンドの歴史における一つの時代の終焉を告げる出来事であったと言えるでしょう。
特に表記のない限り、全曲ミック・ジョーンズとルー・グラムによる作曲。
1. "Heart Turns to Stone" - 4:10
2. "Can't Wait" - 4:27
3. "Say You Will" - 4:12
4. "I Don't Want to Live Without You" (ミック・ジョーンズ) - 4:52
5. "Counting Every Minute" - 4:11
6. "Inside Information" (ジョーンズ) - 4:09
7. "The Beat of My Heart" - 5:10
8. "Face to Face" - 3:53
9. "Out of the Blue" (ジョーンズ、ルー・グラム、リック・ウィルス、デニス・エリオット) - 4:42
10. "A Night to Remember" - 4:07
中心メンバー:
ルー・グラム - リード・ボーカル、パーカッション
ミック・ジョーンズ - ギター、キーボード、バック・ボーカル
リック・ウィルス - ベース、バック・ボーカル
デニス・エリオット - ドラム
アディショナル・ミュージシャン:
ピータ＝ジョン・ヴェテッセ - キーボード
トム・ベイリー - キーボード (4)
ケヴィン・ジョーンズ - シンクラヴィア
ヒュー・マクラッケン - スパニッシュギター (7)
サミー・メレンディーノ - エレクトリック・パーカッション
マーク・リヴェラ - サクソフォーン (1)、バック・ボーカル
* イアン・ロイド - バック・ボーカル
本作は商業的にも成功を収め、ビルボード200アルバム・チャートには15位で初登場しました。特にアメリカ国内では100万枚を超えるセールスを記録し、プラチナ・ディスクに認定されています。国際的にも多くの国でチャートの上位にランクインしましたが、全体的なアルバム売上は、1981年に大ヒットした前作『4』以降、下降傾向にあった中のリリースとなりました。
『インサイド・インフォメーション』は、フォリナーの音楽性が変化している時期の作品であり、そのサウンドは、初期のギターを前面に出したハードロック・スタイルから、より洗練され、シンセサイザーやエレクトロニクスを積極的に取り入れた方向へと移行していることを示しています。この変化は、本作からカットされた複数のシングルに顕著に表れています。
アルバムからの最初のシングルとしてリリースされた「セイ・ユー・ウィル」は、バンドの音作りにおける「バランス感覚」の良い例としてオールミュージックから評されました。この楽曲では、バンドの特徴であるロック・ギターのエッジやルー・グラムの力強いボーカルが保たれつつも、シンセサイザーによる重厚な響きや多様なエレクトロニックな質感がサウンドに加わり、よりモダンで滑らかなアレンジが施されています。このシングルは大きな成功を収め、ビルボードHot 100チャートで最高6位に達し、ビルボード・ホット・メインストリーム・ロック・トラック・チャートでは4週間にわたり1位を維持、バンドにとって4番目の同チャートNo.1ヒットとなりました。国際的なチャートでも好調で、ドイツでは22位（バンドにとって歴代3位の成績）、スイス、オランダ、特にノルウェーでは4位を記録しています。CDシングルには、オリジナルのエクステンデッド・リミックス・バージョンも収録されました。
次にシングルカットされた「ウィズアウト・ユー」は、フォリナーとしては比較的ソフトなバラードでした。この曲はHot 100で5位にランクインし、『インサイド・インフォメーション』からのシングルとしては最高のチャート成績を収めています。また、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは、バンドにとって初めてにして唯一の1位を獲得しました。オールミュージックの評価では、従来のフォリナーのバラードに感じられた「独特なロック・タッチ」は控えめになったものの、ルー・グラムの情感豊かでスムーズなボーカルを中心に、シンセサイザーの響きや瞑想的なエレクトリックピアノのリフで構成されている点が言及されています。メインストリームのロック・ラジオでもチャートインし、最高18位を記録しました。Hot 100での5位到達は、その後よりアップテンポな楽曲もリリースされたにも関わらず、バンドにとって現在まで最後のメジャー・ポップ・ヒットとなっています。
アルバムからの3枚目のシングル「ハート・ターンズ・トゥ・ストーン」は、主にロック・ラジオ向けのプロモーションとしてリリースされました。この曲はホット・メインストリーム・ロック・トラック・チャートで7位にランクインしましたが、翌1988年にビルボードHot 100では56位にとどまりました。キャッシュボックス誌はこの曲について、いわゆる「コーポレート・ロック」の範疇に入れられることもあるとしながらも、楽曲としての機能は良好であり、「フォリナーは純粋な独創性では劣るかもしれないが、親しみやすさと明瞭さで勝負している」と評価しています。
本作には全10曲が収録されており、特に表記のない限り、ミック・ジョーンズとルー・グラムの共作によるものです。その中でも「アウト・オブ・ザ・ブルー」は、フォリナーの楽曲カタログにおいて、1980年代の主要メンバーであるルー・グラム、ミック・ジョーンズ、リック・ウィルス、デニス・エリオットの4人全員が作曲クレジットに名を連ねた唯一の楽曲として特筆されます。
レコーディングには中心メンバーの他、ピータ＝ジョン・ヴェテッセ、トム・ベイリー、ケヴィン・ジョーンズ（キーボード類）、ヒュー・マクラッケン（スパニッシュギター）、サミー・メレンディーノ（エレクトリック・パーカッション）、マーク・リヴェラ（サクソフォーン、バック・ボーカル）、イアン・ロイド（バック・ボーカル）といったゲストミュージシャンも参加し、アルバムのサウンドを豊かにしています。
『インサイド・インフォメーション』のリリース後、バンドの中心メンバーはそれぞれの活動を活発化させました。翌年にはルー・グラムがソロ・キャリアで成功を収め、ミック・ジョーンズも自身の作品発表や、ビリー・ジョエルなど他アーティストのプロデュースを手掛けています。このように、本作が1980年代のフォリナーを支えた黄金期メンバーによる最後のスタジオ・アルバムとなったことは、バンドの歴史における一つの時代の終焉を告げる出来事であったと言えるでしょう。
収録曲
特に表記のない限り、全曲ミック・ジョーンズとルー・グラムによる作曲。
1. "Heart Turns to Stone" - 4:10
2. "Can't Wait" - 4:27
3. "Say You Will" - 4:12
4. "I Don't Want to Live Without You" (ミック・ジョーンズ) - 4:52
5. "Counting Every Minute" - 4:11
6. "Inside Information" (ジョーンズ) - 4:09
7. "The Beat of My Heart" - 5:10
8. "Face to Face" - 3:53
9. "Out of the Blue" (ジョーンズ、ルー・グラム、リック・ウィルス、デニス・エリオット) - 4:42
10. "A Night to Remember" - 4:07
パーソネル
中心メンバー:
ルー・グラム - リード・ボーカル、パーカッション
ミック・ジョーンズ - ギター、キーボード、バック・ボーカル
リック・ウィルス - ベース、バック・ボーカル
デニス・エリオット - ドラム
アディショナル・ミュージシャン:
ピータ＝ジョン・ヴェテッセ - キーボード
トム・ベイリー - キーボード (4)
ケヴィン・ジョーンズ - シンクラヴィア
ヒュー・マクラッケン - スパニッシュギター (7)
サミー・メレンディーノ - エレクトリック・パーカッション
マーク・リヴェラ - サクソフォーン (1)、バック・ボーカル
* イアン・ロイド - バック・ボーカル
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