インジナビル

インジナビル（Indinavir）について

インジナビルは、HIV感染症や後天性免疫不全症候群（AIDS）を治療するための抗ウイルス薬の一つで、プロテアーゼ阻害剤に分類されます。商標名はクリキシバン（Crixivan）で、主にメルク社が製造しています。この薬は、HIVの複製を抑制する効果があり、抗レトロウイルス療法（ART）の一環として重要な役割を果たしています。特に、インジナビルは1996年にアメリカ食品医薬品局（FDA）から認可を受けた抗レトロウイルス薬であり、これによりAIDSの治療において新たな道が開かれました。

歴史

インジナビルは、抗HIV薬の中で特に強力であり、通常、二種類のヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬（NRTI）と併用されることが推奨されています。これにより、HIV/AIDS治療の標準的な方法が確立され、他の抗ウイルス薬の設計にも影響を与えました。インジナビルによって、AIDSはもはや不治の病ではなくなり、制御可能な病気として認識されるようになりました。

近年では、より患者にとって服用しやすく、副作用が少ない新薬が登場しています。ロピナビルやアタザナビル、ダルナビルなどは、インジナビルの後継として評価されていますが、依然としてインジナビルは重要な治療選択肢となっています。

投与方法

インジナビルは、効果的に作用させるために厳密に8時間ごとに服用する必要があります。血中濃度が迅速に低下する特性があるため、服用時間を守ることが重要です。また、食事に関しても制約があり、服用は空腹時に行う必要があります。

用法・用量

具体的な用法として、1回800mgを1日3回空腹時に経口投与することが推奨されています。投与にあたっては、他の抗HIV薬との併用が必須です。また、患者の肝機能に応じて用量を調整することも考慮されています。加えて、腎結石発生を防ぐために、最低1.5リットルの水を摂取することが推奨されています。

副作用

インジナビルには、いくつかの副作用が報告されています。主なものには、高ビリルビン血症、腎結石、そして代謝異常による高脂血症などが含まれます。これら以外にも、以下の副作用が考えられます。

• - 嘔気、血尿、嘔吐
• - 体脂肪の再分布（特に胸部、体幹部に脂肪が増え、末梢部で減少すること）

重大な副作用としては、腎結石および腎不全、肝炎、貧血などが挙げられます。特に腎結石症は、インジナビル使用者の約16.5%に見られることがあります。さらに、アナフィラキシーやスティーブンス・ジョンソン症候群など稀な副作用もあり、患者は使用の際に注意が必要です。

まとめ

インジナビルはHIV感染症の治療において重要な役割を果たす薬の一つですが、その使用には適切な投与が求められ、副作用リスクも存在します。治療を受ける際には医療従事者とよく相談し、正しい情報を持って臨むことが大切です。

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