ジャン＝ルー・クレティエン

ジャン＝ルー・クレティエン：フランス初の宇宙飛行士

ジャン＝ルー・クレティエン（Jean-Loup Jacques Marie Chrétien）は、1938年8月20日にフランスのラ・ロシェルで生まれました。彼はフランス空軍の准将であり、フランス国立宇宙研究センター（CNES）の宇宙飛行士として、フランスとソビエト連邦の共同ミッション、そしてNASAのスペースシャトルミッションで合計3度の宇宙飛行を経験しました。特に、フランス人として、また西ヨーロッパ人として初めて宇宙を訪れた人物として、その名を知られています。

生い立ちと教育

クレティエンは、父ジャックが海軍の船乗り、母マリー・ブランシュ・クドゥリエが主婦という家庭に育ちました。幼少期はプルジャンのL'Ecole communale、サン＝ブリユーのCollege Saint-Charles、モルレーのLyceeで教育を受けました。1959年にはフランス空軍アカデミーに入学し、1961年に航空工学の修士号を取得して卒業しました。彼はフランス語、英語、ロシア語を流暢に操ります。

軍人、テストパイロットとしてのキャリア

1962年、クレティエンはミステールIVでの1年間の飛行訓練を終え、飛行徽章を授与されました。中尉に昇進後は、フランス南西部のオランジュに拠点を置く第5飛行団に配属され、7年間、ミステールB2やミラージュIIIなどの戦闘機のパイロットとして活躍しました。1970年にはフランステストパイロット学校に入学し、その後7年間イストル空軍基地でテストパイロットとして勤務しました。この間、ミラージュF-1の飛行試験計画を監督するなど、重要な役割を担いました。1977年から1978年までは、エクス＝アン＝プロヴァンスのSouth Air Defence Divisionの副長官を務め、1980年6月に宇宙飛行士に選ばれるまでこの地位にありました。

宇宙飛行士としてのキャリア

クレティエンは、1979年4月にソビエト連邦から共同宇宙飛行の提案を受けたフランスによって、1980年6月12日に宇宙飛行士の最終候補2人のうちの1人に選ばれました。1980年9月からはガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を開始し、翌年、ソユーズT-6の宇宙飛行士に任命されました。

ソユーズT-6

1982年6月24日、ソユーズT-6が打ち上げられ、クレティエンはウラジーミル・ジャニベコフ、アレクサンドル・イワンチェンコフと共に、アナトリー・ベレゾボイとワレンチン・レベデフが待つサリュート7号を訪問しました。彼らはそこで7日間近くを過ごし、ソビエト連邦とフランスの共同実験を実施しました。この飛行により、クレティエンはアメリカ人以外の西側諸国出身者として初めて、また西ヨーロッパ人として初めて宇宙飛行士となりました。

ソユーズTM-7

クレティエンは、1988年11月26日に打ち上げられたソユーズTM-7で2度目の宇宙飛行を経験しました。アレクサンドル・ヴォルコフ、セルゲイ・クリカレフと共に、ウラジーミル・チトフ、ムサ・マナロフ、ワレリー・ポリャコフが待つミールを訪れました。彼らはそこで22日間を過ごし、ソビエト連邦とフランスの共同実験を行いました。また、ヴォルコフと共に5時間57分の船外活動を行い、フランスのERA実験の展開構造と材料サンプルのパネルを取り付けました。この船外活動によって、彼はアメリカ人とソビエト人以外で初めて船外活動を行った人物となりました。

STS-86

1994年、NASA Astronaut Group 15に選ばれ、NASAの国際ミッションスペシャリストとなったクレティエンは、1997年9月25日に打ち上げられたSTS-86のミッションに参加しました。このミッションでは、ミールの高度制御コンピュータが運ばれ、STS-76のミッションで展開された4つの実験装置が回収されました。ミールには10,400ポンドの貨物が移され、実験の結果が地球に持ち帰られました。

クレティエンは3度の宇宙飛行で、合計43日と11時間18分42秒を宇宙で過ごしました。そのうち5時間57分は船外活動によるものです。

引退後

2000年9月、クレティエンはテキサス州ウェブスターのザ・ホーム・デポを訪れていた際、事故に遭い重傷を負いました。NASAは、彼にこれ以上の宇宙飛行は不可能だと判断し、2001年に彼は宇宙プログラムからの引退を余儀なくされました。現在はテキサス州ヒューストンのTietronix Softwareで副社長として勤務しています。

クレティエンは、その功績により数々の勲章や賞を受けています。彼はフランスを代表する宇宙飛行士として、その名と功績は永く語り継がれることでしょう。

人物

コネチカット州ニューカナーン出身のエイミー・クリスティン・ジェンセンと結婚しましたが、後に離婚。5人の子供がいます。
趣味は、冬はスキー、夏はセーリング。ゴルフ、ウィンドサーフィン、カーラリー、木工細工も行い、協会のオルガンの演奏も嗜むという多趣味な人物です。

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