インターネットアート

インターネットアートとは

インターネットアートは、インターネットを主要な媒体とする芸術活動の総称です。ネットアートとも呼ばれ、インターネットを舞台に活動するアーティストはネットアーティストと呼ばれます。作品のテーマは多岐にわたりますが、インターネットそのものをテーマにしたものも多く見られます。

ビデオアートがビデオという媒体を使い、その内容も「ビデオ」に関するものが多かったように、ネットアーティストは、ビデオをソフトウェアアートやコードに関するメタな芸術体系の構成要素の一つと捉えています。つまり、インターネットアートの媒体は、ハイパーテキスト・マークアップのコードの集積と考えることができます。

インターネットアートの特徴

インターネットアートのプロジェクトは、ネットの利用が作品の鑑賞、表現、参加の必要条件となるようなアートプロジェクトです。必ずしも純粋に技術的な構造にのみ依存するのではなく、インターネット上の特定の社会的、文化的慣習を利用することもあります。多くの場合、双方向性や参加型であり、広い意味でのマルチメディアに基づいています。

形態

具体的な形態としては、以下のようなものがあります。

芸術的なWebサイト
電子メールアート
芸術的インターネットソフトウェア
インターネットベースのインスタレーション
オンラインビデオ/オーディオ/ラジオ
ネットワーク上のパフォーマンス
オフラインのパフォーマンス

インターネットアートは、メディアアートの一分野として位置づけられます。また、ソフトウェアアート、ジェネラティブアート、ブラウザアート、ウェブアート、スパムアートなど、さらに細分化されたジャンルも存在します。

「インターネットアート」や「ネットアート」以外にも、「インターネットベース・アート」や「net.art」、「Webアート」といった用語も用いられますが、現時点では、どれが最も一般的であるとは言い切れない状況です。

net.artという用語

特に、「net.art」という用語は、1994年から1999年にかけて活動していた特定のアーティストグループを指すことがあります。このグループには、Vuk Ćosić、Jodi、Alexei Shulgin、Fred Forest、Olia Lialina、Valéry Grancher、Heath Buntingなどが含まれます。もちろん、当時から他の多くのアーティストも活動していました。

歴史と状況

インターネットアートは、さまざまな芸術活動や運動にルーツを持っています。特に、コンセプチュアル・アート、フルクサス、ポップアート、パフォーマンスアートとの関連が指摘されています。また、ヨーロッパ、日本、アメリカ合衆国の研究機関などで発展してきた技術中心の電子アートとも深く関わっています。

技術的な背景

リンツのアルス・エレクトロニカ、サンパウロのFILE Electronic Language International Festival、LA Freewavesによるニューメディアフィルムフェスティバル、Kunstradioによる初期のネットワークラジオ実験、パリのIRCAM（電子音楽研究センター）などが、その代表的な例として挙げられます。

コンピュータとインターネットが一般化するにつれて、安価に利用できる技術が増え、それを利用するアーティストも増加しました。1995年から1998年にかけて、Benjamin WeilによるAdawebやSimon LamuniereによるdocumentaXなどを通じて、インターネットアートは広く認知されるようになりました。インターネットバブルもその普及に大きく貢献しました。その後、1999年のバークレー美術館パシフィックフィルムアーカイブ、2000年のラ・メゾン・ヨーロピアン・デ・ラ・フォトグラフィーなどでも展示が行われました。

現代アートとの融合

一部のアーティストは、インターネットアートを他の現代芸術の形態と結びつけようと試みています。コンピュータネットワーク関連のアートの歴史は、1980年代初期から1960年代後期にまで遡ることができます。現在では、インターネット関連の芸術作品は、単なる技術中心のアートを超えて、より広範な文脈で捉えられるようになっています。一般的に、ネットワークを基盤に活動するアーティストは、現代美術や現実空間と仮想空間の橋渡しという観点から語られることを好む傾向があります。

主なアーティスト

以下のようなアーティストが、インターネットアートの分野で活躍しています。

Valéry Grancher（フランス）
G. H. Hovagimyan（アメリカ合衆国）
Knowbotic Research（ドイツとスイスのグループ）
Igor Stromajer（スロベニア）
Joseph Nechvatal（アメリカ）
Philip Pocock（カナダ）
Agricola de Cologne（ドイツ）
エキソニモ（日本）

関連項目

デジタルアート
サイバーカルチャー

参考文献

Baumgärtel, Tilman (2001). net.art 2.0 – Neue Materialien zur Netzkunst / New Materials towards Net art. Nürnberg: Verlag für moderne Kunst.
Wilson, Stephen (2001). Information Arts: Intersections of Art, Science and Technology. Cambridge, Mass.: MIT Press.
Grau, Oliver (2003). Virtual Art: From Illusion to Immersion (Leonardo Book Series). Cambridge, Massachusetts: The MIT Press.
Martín Prada, Juan, Prácticas artísticas e Internet en la época de las redes sociales, Editorial AKAL, Madrid, 2012

外部リンク

netartreview - ネットアートに関するポータルサイト
netzwissenschaft - ネットアートに関するリンク集
Annotated links - ネットアートに関する注釈付きリンク集
net-art Community Congress
File Festival
Feature on Net Art Commissions - Artkrush.com
JavaMuseum - Forum for Internet Technology in Contemporary Art
JavaMuseum Interview Project - インターネットアートに関するインタビュー集
ネットアート：現代美術用語辞典 - artscape
* 資生堂CyGnet（サイバーギャラリー）

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