インターネット選挙運動

インターネット 選挙運動

インターネット選挙運動とは、ネットを活用して行う選挙活動のことです。一般的には「ネット選挙」と呼称されますが、実際の投票はオンラインで行う「ネット投票」とは異なるため、注意が必要です。特に日本においては、公職選挙法が改正された2013年4月以降、ようやくこの形態の選挙運動が合法に認められました。

概要

従来、日本の公職選挙法は厳格であり、インターネットを介した選挙運動は制限されていました。2013年の法改正によって、ウェブサイトや電子メールなどが選挙活動に利用できるようになったのです。これにより、候補者や政党は、ウェブサイトやブログ、SNS、動画共有サイトを通じて有権者と直接コミュニケーションを取ることが可能となりました。具体的には、次のような手段が認められています：

- ウェブサイト（ホームページ）
- ブログや掲示板
- TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア
- 動画共有サービス（YouTubeなど）
- 動画中継サイト（Ustreamなど）

また、電子メールに関する規定では、連絡先を明記することが義務づけられており、ウェブサイトではトップページに目立つように表示する必要があります。なお、この表示義務には罰則はありませんが、候補者からのクレームがあればプロバイダーは発信者の了承なしに削除できることになっています。

18歳未満の者は依然として選挙運動が禁止されており、この点に関しても総務省は注意喚起を行っています。電子メールを通じた選挙運動に関しても、候補者や政党にのみ許可される形で運用されています。

違反行為と禁止事項

選挙運動の際、誹謗中傷やなりすましは刑事罰の対象となり、法的な制約が存在します。また、インターネット上での選挙活動においては禁止されている行為も多く、例えば、紙に印刷された選挙運動用のビラやポスターの無許可の頒布は、候補者、政党ともに禁じられています。

インターネット 選挙の経緯

日本でのインターネット選挙運動の解禁には長い道のりがありました。1996年には新党さきがけが自治省に対しインターネットの選挙活動利用について一般的な質問を行ったのが始まりとされています。その後、様々な政党が利用の解禁を求めたり、調査活動が行われたりしました。特に、2000年代に入ってからは、選挙運動をインターネット上で行う候補者たちが増え、これは法整備の必要性を強く呼び起こす要因となりました。

2013年の法改正後、初めてのインターネットを利用した選挙運動となった第23回参議院選挙では、自民党や民主党などがネット戦略を模索しました。時が経つにつれ、新しく登場した政党もSNSを駆使して選挙活動を展開するようになりました。これは、テレビや新聞からの情報を受け取る層が減少していることとも関係しており、特に若年層においてはインターネット経由で情報を得ることが多いとされています。

投票率への影響

一方、インターネット選挙運動が実際に投票率に影響を与えているかは議論の余地があります。研究によると、特にSNSを利用する有権者が増えたにもかかわらず、投票率は高まっていないという指摘があります。この背景には、政治家たちがいかにネットを使ってコミュニケーションを取るかというところに終始しており、実際に投票行動につながらないという現実が存在するからです。

海外の状況

国外では、アメリカやイギリスなど、多くの国でインターネットを使った選挙運動が行われており、特にアメリカではその運用が進んでいます。一方、フランスやドイツのように選挙運動に関する規制が存在する国もあります。しかし、韓国では2012年に有権者にもインターネット選挙運動が解禁され、これが投票率に良い影響を与えたという事例もあります。

日本のインターネット選挙運動は開始されたばかりであり、さらなる法整備や運用方法の見直しが求められています。今後、ますます進化するデジタル環境において、候補者や有権者がどのようにコミュニケーションを育んでいくのか、注目されています。

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