インターロイキン-5

インターロイキン-5（IL-5）

インターロイキン-5（Interleukin-5, IL-5）は、液性免疫応答に関与するTh2サイトカインの一種です。T細胞由来のB細胞増殖因子として発見され、後に好酸球分化因子などとも呼ばれました。IL-5は単量体では活性がなく、通常はホモ二量体を形成して生理活性を発揮します。主な作用は、好酸球と呼ばれる白血球の分化や増殖を促すことです。

遺伝子と分子の構造

ヒトのIL-5遺伝子は第5番染色体に位置しており、他のサイトカイン遺伝子と近接しています。その発現は様々な転写因子によって調節されています。

IL-5タンパク質は成熟型で115個のアミノ酸からなり、糖鎖付加により45〜60kDaの分子量を示します。IL-5分子間のジスルフィド結合によりホモ二量体を形成します。構造的には4つのαヘリックスからなるヘリックスバンドル構造をとります。

IL-5受容体とシグナル伝達

IL-5は、細胞膜上のIL-5受容体に結合して作用を発揮します。この受容体はタイプIサイトカイン受容体ファミリーに属し、IL-5受容体α鎖と、他の受容体と共通の共通β鎖からなるヘテロ二量体です。IL-5への結合特異性はα鎖にありますが、共通β鎖との複合体形成によって高親和性が生まれます。IL-5が受容体に結合すると、細胞内で様々なシグナル伝達経路が活性化されます。

生理活性

IL-5の主な標的細胞とその作用は、種によって異なります。ヒトでは主に好酸球および好塩基球に強く作用し、B細胞への作用は限定的です。

ヒトにおいてIL-5の主要な役割は、好酸球の制御です。造血前駆細胞からの好酸球への分化を誘導し、成熟した好酸球の生存を維持し、骨髄からの動員や組織への浸潤を促進します。特に、気管支喘息などのアレルギー疾患における気道組織への好酸球の浸潤に深く関与しています。

B細胞に対しては、ヒトでは弱いながらも、抗体産生に関与することが示唆されています。

IL-5を標的とした治療薬

IL-5の機能を阻害する薬剤として、抗IL-5モノクローナル抗体であるレスリズマブ（Reslizumab）やメポリズマブ（Mepolizumab）が、好酸球が関与する疾患の治療に用いられています。

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