インターロック (安全技術)

インターロックとは

インターロックとは、安全装置や保安装置の一種で、特定の条件が満たされない限り、次の動作に進めないようにする機構のことです。このシステムは、誤操作や手順の逸脱による事故を防ぎ、安全性を高めるために非常に重要な役割を果たします。特に、人為的なミスが大きな事故につながる可能性のある場所では、その重要性は計り知れません。

インターロックは、フェイルセーフやフールプルーフ（ポカヨケ）といった設計思想を具現化したものです。これらの設計思想は、人間のエラーを前提とし、エラーが発生してもシステム全体に悪影響が及ばないようにすることを目的としています。インターロックは、これらの思想を具体的な形で実現する装置または機構として、様々な分野で利用されています。

安全計装としてのインターロック

インターロックは、安全計装の重要な要素として、製造プロセスや機器の運転を制御するために利用されます。例えば、プラントの操作において、誤った手順での操作を防止したり、正常な運転条件から逸脱した場合に自動的に原材料の供給を停止したりする機能があります。これは、保安上重要な部分を制御するために、計装回路に組み込まれています。

具体的な条件としては、機器の起動状況、扉の開閉状態、圧力、液面、温度など、様々なパラメータを組み合わせて使用します。これらの条件は、AND条件やOR条件として設定され、複雑な安全ロジックを実現します。例えば、プラントのスタートボタンが押されても、必要な安全条件が満たされていなければ、機器は動作しません。また、特定の条件に達すると自動的に停止するシステムも、インターロックの一例です。

インターロックの例

インターロックは、その応用範囲が非常に広く、私たちの身の回りの様々な場所で利用されています。以下にいくつかの具体例を示します。

自動車

エンジン始動連結装置（アルコール・インターロック）: 飲酒運転を防止するため、呼気からアルコールが検出された場合、エンジンの始動を不可能にするシステムです。
開扉発車防止装置（アクセルインターロック）: 主にバス車両に搭載されており、扉が完全に閉じていないとアクセルペダルを踏み込めないようにすることで、ドアが開いたまま発車してしまう危険を防止します。

鉄道

鉄道車両: すべての扉が閉じていないと、列車が発車できないようになっています。

その他

クリーンルーム（パスボックスなど）: 汚染空気がクリーン側に流入するのを防ぐため、一方の扉が開いているときは、他方の扉が開かないように設計されています。
エレベーター: 各階の扉がすべて閉じていないと、かごが移動しないようになっています。
ボイラー: 燃料や水位が低い状態では、燃焼を開始できないようになっています。
圧縮機: 潤滑油の液面や圧力、吸入口の弁、冷却水の圧力などが規定値に達していない場合、起動できないようになっています。
ポンプ: ポンプの破損を防ぐため、吐出圧力が一定値に達すると停止したり、液体がない状態では起動しないように設定されています。
断路器: 遮断器との連動により、電流が流れていない状態でなければ開閉できないように設計されています。
放射線治療装置: 寝台や照射装置の位置、角度、遮蔽扉の閉鎖、コンソールキーの解除など、数十以上の条件が満たされないと放射線が照射されないようになっています。これは、極めて高い安全性を確保するための措置ですが、ごくわずかな異変でもインターロックが作動するため、誤検知や測定誤差による偽陽性も多く発生します。

これらの例からわかるように、インターロックは私たちの生活の様々な場面で、安全を確保するための重要な役割を果たしています。

まとめ

インターロックは、ヒューマンエラーによる事故を防止し、安全な環境を維持するために不可欠なシステムです。その設計思想は、フェイルセーフやフールプルーフという考えに基づき、人間のミスを前提とした安全対策を講じるものです。自動車、鉄道、プラント、医療機器など、幅広い分野で活用され、私たちの安全な生活を支えています。インターロックの導入と適切な運用は、安全な社会を構築する上で非常に重要な要素と言えるでしょう。

関連項目

* 排他制御

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