インテリジェンス・コミュニティー

インテリジェンス・コミュニティーの概要

インテリジェンス・コミュニティーは、各国政府が設立した情報機関から構成され、情報の収集と分析を行う組織です。一般に「情報活動コミュニティ」や「情報コミュニティー」とも称され、とりわけアメリカやイギリスのコミュニティーが広く知られています。これらの国では、情報の一元化と調整を図る目的で、多くの情報機関が密接に連携しています。

各国のインテリジェンス・コミュニティー

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国のインテリジェンス・コミュニティーは、CED（国家情報長官室）を中心に、数多くの機関が協力して情報を集約しています。主な機関としては、CIA（中央情報局）、NSA（国家安全保障局）、DIA（国防情報局）、NRO（国家偵察局）、FBI（連邦捜査局）などがあります。これらの機関は、それぞれ異なる専門分野で活動を行い、情報を収集しますが、そのために提供される情報が異なる場合があります。例えば、CIAがテロの脅威を強調する一方、NSAやDIA、FBIが異なる見解を示した場合、政府の政策決定に混乱をもたらす可能性があります。こうした状況を避けるために、インテリジェンス・コミュニティーは情報の整合性を維持し、連携を促進しています。

日本

日本の情報機関は、内閣情報会議とその下に設置された合同情報会議を中心に構成されています。この合議制は、内閣官房、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などの機関が参加し、重要な政策に関する情報を取り扱っています。内閣情報会議は年2回、合同情報会議は隔週で開催され、情報の収集と分析に基づいて国内外の政策に関わる情報を総合的に把握します。さらに、2008年からは財務省や経済産業省、海上保安庁も情報コミュニティーに加わり、より包括的な形態を取っています。

イギリス

イギリスのインテリジェンス・コミュニティーは、内閣に直属する合同情報委員会（JIC）を核とした体制で運営されています。主要な機関としては、外務・英連邦省、秘密情報部（SIS）、政府通信本部（GCHQ）、内務省、保安局（SS）、国家犯罪対策庁（NCA）などが含まれています。これらの機関は、国家の安全保障に関連するさまざまな情報を収集し、分析・報告を行います。

イスラエル

イスラエルにおける情報コミュニティーは、ハガナー情報局の解体に伴い設立されました。イスラエルの情報機関には、首相府、イスラエル諜報特務庁（モサド）、およびイスラエル総保安庁（シャバック）が含まれ、外務省や国防省などが協力しながら国内外の情報を収集・分析しています。

まとめ

インテリジェンス・コミュニティーは、各国が独自の情報機関を設けている中で、情報の整合性と効率的な分析を確保するための重要な枠組みとなっています。各国のインテリジェンス機関は、国家の安全保障に寄与するため、日々情報の収集と分析に取り組んでおり、その結果が政策決定や国際的な枠組みに影響を与えることもあります。

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