インディアン・プレミアリーグ

インディアン・プレミアリーグ (IPL)

インディアン・プレミアリーグ、通称IPLは、インドを拠点とするプロクリケットリーグです。クリケットの短時間国際形式であるトゥエンティ20（T20）方式を採用しており、2008年にその歴史を開始しました。以来、IPLは世界で最も人気があり、経済規模が大きいクリケットリーグへと成長を遂げています。リーグ本部はムンバイに置かれ、現在はタタ・グループが冠スポンサーを務めています。

リーグの構成と進行

IPLのシーズンは例年春に開催され、 typically 3月または4月に開幕し、約7週間後の5月に閉幕します。リーグには現在10チームが参加しており、シーズン中には合計74試合が行われます。

レギュラーシーズン

レギュラーシーズンでは、10チームがAとBの二つのグループに分けられます。各チームは、同じグループに属する4チームとは一度ずつ対戦します。また、異なるグループのチームとは、ホームとアウェーでそれぞれ一度ずつ対戦します。これにより、各チームはレギュラーシーズン中に合計14試合を消化します。

プレーオフ

レギュラーシーズンの上位4チームがプレーオフに進出します。プレーオフは、独特の変則トーナメント方式で行われます。

第1試合: レギュラーシーズン1位 vs 2位
勝者は優勝決定戦へ進出。
敗者は敗者復活戦へ進出。
第2試合: レギュラーシーズン3位 vs 4位
勝者は敗者復活戦へ進出。
敗者は敗退。
敗者復活戦: 第1試合敗者 vs 第2試合勝者
勝者が優勝決定戦へ進出。
敗者は敗退。
優勝決定戦: 第1試合勝者 vs 敗者復活戦勝者

圧倒的な経済力

IPLの経済規模は、他の多くのプロスポーツリーグを凌駕しています。米経済誌フォーブスの2022年の試算では、IPL参加チームの平均資産価値は約10億4000万ドル（当時のレートで約1600億円）に達し、北米のNHLの平均値を上回りました。2023年には、IPLの事業価値が154億ドル、ブランド価値が32億ドルと算出されています。

特に注目されるのは放映権料の巨大さです。インドクリケット管理委員会は、2023年から5年間の放映権契約が総額4839億ルピー（当時のレートで約8470億円）で成立したと発表しました。これは1試合あたり約11億4000万ルピー（約20億円）に相当し、サッカーのプレミアリーグなどを上回り、世界のプロスポーツリーグにおける1試合あたりの放映権料としては、NFLに次ぐ第2位の金額となっています。

試合開催と選手契約の特徴

IPLのレギュラーシーズンは、平日には夜（インド標準時20時開始）に1試合、週末には昼夜に2試合が開催されるのが一般的です。平日の夜間試合は、多くの視聴者がテレビを視聴するプライムタイムに合わせて組まれており、高い注目度を維持しています。会場には多くの観客が訪れ、例えば2015年シーズンには合計約171万人の観客が動員され、1試合平均約2万8500人でした。

リーグでは、チームの年間総年俸に上限を設けるサラリーキャップ制度を採用しており、2023年シーズンは9億5000万ルピー（約18億円）が上限でした。この年の最高年俸選手はサム・カランで、約1億8500万ルピー（約3億5000万円）を受け取っています。IPL選手の契約は、通常7週間程度のシーズン期間のみの短期雇用であり、これは世界の他の主要スポーツリーグとは異なる特徴です。報道される平均年俸が高い場合、それは7週間分の報酬を1年間に換算した推定値であることが多く、短期間で高額の報酬が得られることを示しています。

IPLの歴史と主な出来事

IPLの歴史には、リーグの発展や困難を示すいくつかの重要な出来事があります。

国外開催: インド総選挙の期間と重なることを考慮し、2009年シーズンは南アフリカで、2014年シーズンは序盤戦がアラブ首長国連邦（UAE）で開催されました。
チャンピオンズリーグ: かつては、IPLのプレーオフ決勝進出チームに、世界のT20クラブチームが集うチャンピオンズリーグ・トゥエンティ20への出場権が付与されていました。
八百長問題: リーグの信頼性を揺るがす問題として、八百長が発覚したことがあります。これにより、ロイヤルズとスーパーキングスという2チームが2016年と2017年の2年間、リーグからの出場停止処分を受けました。この期間中、代替としてプネーとラージコートに新しいチームが一時的に編成され、リーグに参加しました。
女子クリケット: 女子クリケットの振興にも力が入れられており、2018年から女子のエキシビションマッチが始まりました。2019年には、プレーオフ期間中に3チーム参加のリーグ戦形式のエキシビションが開催されるなど、女子クリケット発展への試みが続けられています。
* チーム拡張: 2022年シーズンからはリーグが拡大し、新たに2つのフランチャイズが加わりました。非公開入札の結果、RPSGグループがラクナウ（約8億8000万ドルで落札）、CVCキャピタルがアーメダバード（約6億6000万ドルで落札）のチーム設立権を獲得し、それぞれラクナウ・スーパージャイアンツ、グジャラート・タイタンズとしてリーグに参入。これにより、IPLは10チーム体制となりました。

メディア展開

IPLの試合はインド国内だけでなく、世界中で放送・配信されています。過去にはソニーやスターなどがインド国内の主要な放映権者でした。メディア契約は変遷しており、2023年シーズンにはDAZNがイギリスやアイルランドで全試合をライブ配信したほか、日本でも一部試合の配信が行われました。2024年からは、インドを拠点とする動画配信サービスYuppTVが、日本を含む世界70以上の国と地域でIPL全試合のライブ配信を実施しています。また、イギリスやアイルランドではSky Sportsが独占中継を行うなど、様々なプラットフォームを通じて視聴が可能となっています。

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