プネー

プネー：インドの学術とITの中心都市

プネーは、インドのマハーラーシュトラ州に位置する、同州で2番目に大きな都市です。デカン高原に位置し、標高約600mの高原にあるため、避暑地としても知られています。かつてはイギリス植民地時代に「プーナ（Poona）」と呼ばれていましたが、1999年に現地の言葉であるマラーティー語の「プネー」が正式名称となりました。しかし、現在でも「プーナ」という名前は非公式ながら広く使われています。

都市の概観

プネーは、2010年の都市圏人口が約493万人を抱え、世界で60位、インド国内で8位の規模を誇ります。金融と経済の中心地であるムンバイから南へ約170kmの距離にあり、空路、鉄道、陸路を通じてインドの主要都市と接続しています。都市の約40%が緑で覆われ、インド国内でも特に緑豊かな都市の一つとして知られています。また、安全な都市としても有名です。

18世紀には、ムガル帝国に代わってインドの覇権を握ったマラーター王国の宰相府が置かれました。イギリス領時代から、「東のオックスフォード」や「インドのオックスフォード」と呼ばれる教育と研究の中心地として発展し、インドで最も多くの研究機関が存在します。市内には、インド最大の科学コミュニティがあると言われています。

IT産業を中心としたビジネスの中心地としても発展を遂げており、多くのIT企業やソフトウェア開発会社が拠点を構えています。その発展ぶりから「東のシリコンバレー」とも呼ばれることもあります。また、インド国内で最もPCの普及率が高く、生活水準が高い都市としても知られています。

20世紀前半には、神秘家のメヘル・バーバーがこの地で過ごし、マハトマ・ガンディーが一時期監禁されていた場所でもあります。

歴史

プネーの歴史は古く、その詳細は英語版のページで確認できます。

地方自治体

プネーは、自治都市（Municipal Corporation）として、プネー市（Pune Municipal Corporation）によって運営されています。

経済

プネーには、医薬品メーカーであるセラム・インスティテュート・オブ・インディア（インド血清研究所）など、多くの企業が本社を置いています。

教育

「東のオックスフォード」「インドのオックスフォード」と呼ばれるほど、教育機関が集積しています。2008年には、オックスフォード大学がインドに初めて施設を設置し、ビジネスコースを開設しました。国立レベルの研究開発センターや、IT研究開発機関であるC-DACなども所在しています。マハトマ・ガンディーはプネーを「熱心な者たちが崇高な目的のために集まる巣箱」と評しました。また、1857年には気象庁がシムラーからプネーに移転しました。

名門のプネー大学をはじめ、17校の工科大学があり、毎年多くのITエンジニアを輩出しています。インドへの留学生の約35%がプネー大学で学んでおり、知的レベルが高い地域です。

日本語教育も盛んで、1971年から日本語教育が始まり、約1万人の学生が日本語を学んでいます。毎年約2000人が日本語能力試験（JLPT）を受験しており、インド国内で最もJLPT受験者数が多い都市です。プネー大学の外国語学部では、インドで最も多くの言語を扱っています。日本の名古屋大学や静岡大学と姉妹校提携を結んでいます。

文化

1000年以上の歴史を持つプネーは、「マハーラーシュトラ州の文化的首都」とも呼ばれています。市内には、シンハガド要塞、ケールカル博物館、アーガー・ハーン宮殿、パールヴァティー寺院、シャニワール・ワーダー宮殿跡など、数多くの観光名所があります。

祭りでは、8月末から9月始めにかけて開催されるガネーシュ・フェスティバルが有名です。この祭りは、インド独立運動の際に人々が集まるための手段として、ティラクによって大きくされました。また、物議を醸した宗教家であるバグワン・シュリ・ラジニーシ（Osho）のアシュラム（道場）も観光地の一つとなっています。

インドのパールシーの多くがムンバイまたはプネーに住んでおり、ゾロアスター教の寺院がいくつかあります。バドミントンはプネーで生まれたとされており、イギリス人が本国に紹介したことが起源とされています。

地理

プネーには、かつてマハーラージャたちの避暑地であったコーレーガーオン・パークや、森林公園であるエンペレス・ガーデン、小売店が並ぶMGロード、卸売店が並ぶラクシュミー・ロードなどがあります。

プネーは、地震活動が活発なコイナダムの近くに位置しており、過去にいくつかの地震を経験しています。

気候

インドの他の都市と同様に、夏季、涼季、雨季（モンスーン）の3つの季節があります。

冬（11月～3月）：過ごしやすい気候で、観光シーズンです。
夏（4月～6月中旬）：非常に暑く、乾燥した日々が続きます。
雨季（6月中旬～9月中旬）：雨が多く、特に7月中旬から8月中旬にかけてが雨のピークです。
秋（9月中旬～10月）：比較的過ごしやすい気候です。近年は、10月まで雨が降ることもあります。

事件

2010年には、市内のレストランで爆弾テロが発生し、10名が死亡しました。また、2018年には、コーレーガーオンの戦いの200周年記念式典で、ダリットとヒンズー至上主義者が対立し、暴動が発生しました。

交通

市内では、オート・リキシャが主な交通手段です。タクシーは一般的ではなく、長距離移動に利用されます。郊外には空港があり、国内線が就航しています。ムンバイとプネーを結ぶ高速道路が開通しており、ムンバイまで約3時間でアクセスできます。また、プネー駅を中心に、インド各地へ向かう鉄道が運行しています。2022年にはプネー地下鉄が開通しました。長距離バスも利用できます。

2014年の交通事故発生件数は1453件、死者は378人に上り、二輪車の事故が特に多いです。

近くの観光地

プネーの近郊には、アジャンターやエローラの仏教遺跡、ローナーヴァラー、マハーバレーシュワル、パーンチガーニーなどの避暑地、ガンディーが幽閉されていたアーガー・ハーン宮殿などがあります。

出身人物

プネー出身の著名人には、映画監督のアルデシール・イラニ、サン・マイクロシステムズ社の共同設立者であるビノッド・コースラ、シタール奏者のチャンドラカント・サラデシュムク、神秘思想家のメヘル・バーバー、女優のスミタ・パティル、軍人のジョン・フロストなどがいます。

姉妹都市

プネーは、日本の岡山県、ノルウェーのトロムソ、アメリカ合衆国のサンノゼとフェアバンクスと姉妹都市提携を結んでいます。岡山県との交流から、プネー岡山友好公園が造園されています。

テレビ番組

過去には、日本のテレビ番組「日経スペシャル ガイアの夜明け」でプネーのIT産業が紹介されました。

外部リンク

Pune City Guide
プネーの歴史(英語)
* ウィキボヤージュには、プネー（ヒンディー語）に関する旅行情報があります。

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