インド人民党

インド人民党(BJP)：ヒンドゥー至上主義とインド政治の中枢

インド人民党（BJP）は、インドにおける主要政党であり、1980年代以降、インド政治において圧倒的な影響力を持つに至っています。ヒンドゥー至上主義を掲げる同党は、2014年の総選挙で圧勝し、ナレンドラ・モディ首相の下で政権を掌握しました。BJPは、国民民主同盟(NDA)という連立政権を率いており、インドの政治・経済・社会に多大な影響を与えています。

BJPのイデオロギーと歴史

BJPのイデオロギーの中核をなすのは「ヒンドゥットヴァ（ヒンドゥー民族主義）」です。ヒンドゥー教文化や伝統をインド国家アイデンティティの中心に据え、他の宗教、特にイスラム教を軽視する傾向があります。このイデオロギーは、BJPの母体である民族義勇団（RSS）から受け継がれたものであり、RSSは、その歴史と活動から、しばしば極右・ファシスト組織とみなされています。モディ首相自身もRSSの元活動家であることが知られています。

BJPは1980年、インド国民会議派(INC)に対する対抗勢力として結成されました。INCが長年インド政治を支配していたことに対する反発や、ヒンドゥー教徒の支持を集めることで勢力を拡大していきました。1990年代には、アタル・ビハーリー・ヴァージペーイー首相の下で初めて政権を獲得。2004年に下野したものの、2014年にモディ首相を擁立し、再び政権を掌握しました。

経済政策とグローバリゼーション

BJP政権下では、経済自由化政策が積極的に推進され、IT産業を中心とした経済成長が実現しました。アメリカ主導のグローバリゼーションを積極的に支持し、海外からの投資を誘致する政策をとってきました。しかし、経済発展の恩恵が国民全体に行き渡っていないことや、貧富の格差拡大への批判も存在します。

社会問題と人権問題

BJPのヒンドゥー至上主義的な政策は、社会問題や人権問題を引き起こしていると批判されています。宗教的少数派、特にイスラム教徒やキリスト教徒に対する差別や迫害が報告されており、国連人権理事会からも懸念が表明されています。ジャーナリストや人権活動家への弾圧も指摘されており、民主主義の侵害を懸念する声もあります。特に、2020年の新型コロナウイルス感染拡大時には、イスラム教徒に対するヘイトスピーチや差別的な行動が社会問題として注目されました。

BJPの組織と支持基盤

BJPは、世界最大の政党の一つであり、1億人を超える党員数を誇ります。その支持基盤は、主にヒンドゥー教徒、特にヒンドゥー教の伝統や文化を重視する層に広がっています。しかし、BJPは、ヒンドゥー至上主義を明確に掲げながらも、カースト制度の解消や政教分離にも賛成するなど、複雑な政策スタンスを取っています。また、RSSやVHPなどのヒンドゥー至上主義団体との緊密な関係も特徴的です。

今後の展望

BJPは、インド政治において依然として大きな影響力を持っています。しかし、宗教的少数派への差別や人権問題、経済格差、環境問題など、BJP政権が直面する課題は山積しています。これらの課題への対応が、BJPの今後の政権運営を左右する重要なポイントとなるでしょう。BJPの政策や行動は、インド国内だけでなく、国際社会にも大きな影響を与え続けています。今後の動向に注目が必要です。

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