インド宇宙研究機関

インド宇宙研究機関（ISRO）について

インド宇宙研究機関（ISRO）は、インドの宇宙開発に特化した国家機関で、バンガロールに本拠地を置き、約2万人の職員が在籍しています。現在の予算規模は日本円にして約1000億円で、主に宇宙関連技術の開発や応用を目指しています。ISROは、国内外問わずペイロードの打ち上げサービスを提供しており、その技術力は世界的に高く評価されています。

インドの宇宙開発の歴史

1960年代の幕開け

インドの宇宙開発の礎は、ヴィクラム・サラバイのリーダーシップの下、1960年代に築かれました。彼は、1957年のスプートニクの成功を受け、人工衛星の可能性を考慮しました。1961年、ジャワハルラール・ネルー首相は宇宙研究を原子力省の管轄とし、1962年にはインド国立宇宙研究委員会（INCOSPAR）が設立されました。この機関でサラバイが長官を務め、以後の宇宙開発の基盤が整えられました。

初期のロケット技術

当初、インドは人工衛星を直接打ち上げる能力を持つことを目指し、研究を進めました。1969年にはINCOSPARが改組され、ISROが設立されました。1972年にはインド宇宙省が設けられ、ISROはその一部門となります。1960年代後半には、初のロケット基地がケーララ州に設立され、観測ロケットの打ち上げが行われました。

1970年代の発展

1970年代に入ると、ISROは放送衛星やその打ち上げ機を開発することに焦点を当て、1975年には国産初の衛星「アーリヤバタ」が打ち上げられました。続いて、アーンドラ・プラデーシュ州にサティシュ・ダワン宇宙センターが設立され、1980年には初めて国産の衛星ロヒニシリーズが成功を収めました。

1980年代の進化

1980年代には極軌道打ち上げ機（PSLV）の開発が開始され、1993年の打ち上げ成功に至ります。PSLVはその高い信頼性で知られ、インドの基幹ロケットとしての地位を確立しました。同時に、静止衛星打ち上げ機（GSLV）の開発も始まりました。

主な業績

• - 2008年: 月面探査機「チャンドラヤーン1号」を打ち上げ、月の探査に成功。
• - 2013年: 初の火星探査機「マンガルヤーン」を打ち上げ、アジア初の火星探査機としての成功を果たす。
• - 2023年: 「チャンドラヤーン3号」を用いた月面軟着陸に成功し、インドは世界で4か国目の技術を持つ国となりました。

今後の展望

ISROは、今後も新世代の衛星やロケットの開発を進める予定です。特に、有人宇宙飛行計画の推進や、地球観測を強化するための衛星打ち上げを行っていく予定です。

宇宙科学の進展に寄与し、国民の生活向上に資する技術の実用化を目指すISROの取り組みは今後も続きます。

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