インド帝国勲章

インド帝国勲章について

最も高貴なるインド帝国勲章（英: The Most Eminent Order of the Indian Empire）は、かつてイギリス植民地時代のインドで授与された名誉勲章です。この勲章は、1877年にヴィクトリア女王がインド女帝として即位した際に、「インドの星勲章」よりも下位の地位で創設されました。インドの歴史とイギリスの植民地支配の象徴ともいえるこの勲章は、1947年にインドが独立するまで存在しました。

創設の背景

この勲章は、ヴィクトリア女王の即位に伴って、インドの行政や軍事、さらには王侯（マハラジャ）などに贈与されることを目的として制定されました。最初は単一級の勲章として誕生しましたが、1886年に2等級が追加され、1887年には最終的に3つの等級に分かれました。具体的には、ナイト・グランド・コマンダー (GCIE)、ナイト・コマンダー (KCIE)、そしてコンパニオン (CIE) の3つです。

興味深い点として、この勲章は非キリスト教徒も受章できるようにデザインされており、十字の表記が避けられ、「Commander」という名称になっています。このように、宗教的な配慮がなされていることが特徴的です。

勲章のデザイン

最も高貴なるインド帝国勲章のデザインは、非常に華麗で独自性があります。特にGCIEは、頸飾、大綬章、星章という3つの要素から成り立っており、いずれも精巧な装飾が施されています。

頸飾は銀製で、象、睡蓮の葉、孔雀、そしてインドのバラを交互にあしらい、中央には王冠があって、これに記章が付いています。記章自体は赤いバラの形をしており、ヴィクトリア女王の横顔が描かれています。その周りには「女帝の庇護のもとで」というフレーズが刻まれています。

大綬章は紫色のリボンで、頸飾と同じデザインの記章が先端についています。星章も銀製で、頸飾の記章と同様の中央部を持ち、金色と銀色の線が伸びるデザインになっています。また、GCIEには紫のマントが付属しており、その豪華さを一層引き立てています。

KCIEは中綬章と小型の星章を持っており、CIEは中綬章のみというシンプルな構成です。

廃止とその後

インドとパキスタンが1947年8月15日に独立したことにより、インド帝国勲章は廃止されました。受章者が死亡した場合には、イギリス王室への勲章返還が求められましたが、GCIEの頸飾については遺族による買い取りが認められていました。

最後まで生存していたGCIE受章者は、トラヴァンコール藩王国のマハラジャであるスレー・ヴァルマであり、彼は1991年に亡くなっています。この勲章が持つ意味と、歴史的な背景を知ることは、インドの植民地時代を理解する上でも重要です。

参考文献

君塚直隆による著書『女王陛下のブルーリボン ガーター勲章とイギリス外交』にて、この勲章の歴史やデザインについて詳しく解説されています。

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