インナースペース (映画)

『インナースペース』

『インナースペース』（Innerspace）は、1987年に公開されたSF映画で、ジョー・ダンテが監督を務め、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を行いました。この作品は、ワーナー・ブラザースによって配給され、1987年度のアカデミー賞ではデニス・ミューレンが視覚効果賞を受賞しています。

基本情報

物語はアメリカ空軍に所属するパイロット、タック・ペンドルトンが主役です。彼は、特殊潜行艇・クラーケンIIを使ってミクロ化し、ウサギの体内に注入される実験に参加することになります。ところが、実験の日、タックは新聞記者の恋人リディアと喧嘩別れをしており、気まずい気持ちを抱えながら研究施設に赴きます。この実験では、潜行艇がミクロ化した途端、施設が産業スパイに襲われ、注射器を持った研究員が逃げ出しますが、その際に誤ってスーパーの店員ジャック・パターに潜行艇を注入してしまいます。

ストーリー展開

タックは、ジャックの目と耳にセンサーを取り付け、彼と協力して元のサイズに戻るために奔走します。彼らの目的は、産業スパイによって奪われたマイクロチップを取り戻すことです。物語は、タックがジャックの体内での冒険を通じて様々な危機に立ち向かう姿を描いています。タックはジャックと連携しながら、ミクロの世界での驚きと恐怖を体験し、成長していきます。

映画と小説版の違い

ネイサン・エリオットによる小説版では、映画と異なる展開が幾つか描かれています。特に、ジャックとリディアが産業スパイに捕まった際に潜行艇がリディアの体内に入り、彼女の体内で胎児に出会う場面が存在するといった点です。映画版ではタックがリディアの好きな曲を流して彼女に自分の存在を知らせるなどのシーンがあり、視覚的な演出が際立っていますが、小説版では違った手法で交信が描かれています。

キャラクターとキャスト

主要キャストには、タック・ペンドルトンを演じるデニス・クエイド、ジャック・パター役のマーティン・ショート、リディア・マックスウェルを演じるメグ・ライアンなどがいます。タックは素行が悪く勇敢な空軍パイロット、ジャックは神経症に悩む不安な性格のスーパー店員であり、リディアはタックを救うために行動する新聞記者です。

その他の登場人物

• - ビクター・スクリームショウ（ケヴィン・マッカーシー）：産業スパイのボス
• - マーガレット・キャンカー（フィオナ・ルイス）：ビクターの仲間
• - アイゴ（ヴァーノン・ウェルズ）：殺し屋
• - カウボーイ（ロバート・ピカード）：国際的なブローカー
• - オジー・ウェクスラー（ジョン・ホラ）：研究員

制作の裏話

映画には、タックが「南無妙法蓮華経」という言葉を繰り返すシーンがありますが、これは監督の兄が創価学会の信者であったことから、気合を入れるためのフレーズとして取り入れられたとのことです。また、この作品の共演をきっかけに、デニス・クエイドとメグ・ライアンが結婚に至ったことも知られています。

日本語版情報

日本語版のビデオには、ビートたけしがアドバイザーとして参加し、吹替版では原田眞人がユニークな台詞を考案しました。キャストには当時劇団夢の遊眠社の上杉祥三や野田秀樹が含まれています。

『インナースペース』は、ミクロ化をテーマにしたユニークなSF映画として、今も多くのファンに愛されています。

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