インヒビン

インヒビンについて

インヒビンは、雌の顆粒膜細胞と雄のセルトリ細胞から生成される糖タンパク質ホルモンです。このホルモンは、主に卵胞刺激ホルモン（FSH）の合成と分泌の調節に関与しています。インヒビンは、体内でのホルモンバランスを保つうえで非常に重要な役割を担っており、特に生殖機能において不可欠な存在です。

インヒビンの合成と分泌

インヒビンの合成は、FSHの影響を受けて促進されます。FSHは脳の下垂体前葉から分泌され、卵巣や精巣の細胞に作用し、インヒビンの合成を活性化します。インヒビンが血中に放出されると、悪循環的フィードバック作用が働き、下垂体前葉に直接作用してFSHの分泌を抑制します。これにより、体内のホルモン濃度を一定に保つことが可能となります。

インヒビンの生理的作用

通常、女性ではインヒビンの働きにより下垂体からのFSHの分泌が抑制されています。しかし、排卵の際にはインヒビンの分泌が減少するため、FSHの放出が急激に増加します。この相互作用は、妊娠を希望する際に重要な役割を果たします。

インヒビンの血中濃度はFSH濃度と逆相関の関係にあり、FSHが増加するとインヒビンは減少します。さらに、卵胞の発育が進むにつれてインヒビン濃度は増加し、発情期には特に高い値を示します。その後、排卵が起きるとインヒビンの濃度は急激に低下します。この変化は、妊娠周期の調整にとって重要なメカニズムです。

関連項目

インヒビンと関連するホルモンには、下垂体前葉性性腺刺激ホルモンやアクチビンがあります。これらのホルモンもまた、生殖機能の調整に重要な役割を果たしています。

参考文献

• - 獣医学大辞典編集委員会編集　『明解獣医学辞典』　チクサン出版　1991年　ISBN 4885006104
• - 山内亮監修　『最新家畜臨床繁殖学』　朝倉書店　1998年　ISBN 4254460201
• - 高橋迪雄監訳　『獣医生理学第2版』　文永堂出版　2000年　ISBN 4254460252
• - 浜名克己, 中尾敏彦, 津曲茂久編　『獣医繁殖学 第3版』　文永堂出版　2006年　ISBN 4830032065

インヒビンの調節機構を理解することは、獣医学や生殖医学の分野において、より効果的な治療や管理方法を探求するために非常に重要です。

もう一度検索