インプリンタ

インプリンタとは

インプリンタは、クレジットカードやキャッシュカードなどのエンボス加工された情報を、専用の伝票に転写するための手動式器具です。カードに刻印された口座番号、会員番号、氏名、有効期限などの情報を、物理的に伝票へ写し取るために使用されます。

構造と機能

インプリンタは、カードと伝票をセットするポケットと、インクを塗布したローラーで構成されています。伝票をセットし、ローラーをスライドさせることで、エンボス部分が圧力により転写される仕組みです。クレジットカード決済で使用される伝票は、通常3枚の複写式になっており、1枚目はカード会社へ、2枚目は会員へ、3枚目は加盟店で保管されます。

現在の利用状況

現在では、クレジットカード決済の多くがCAT（クレジットカード処理端末）を利用して行われるため、インプリンタの使用場面は減少傾向にあります。しかし、CATが導入されていない加盟店や、発展途上国などでは依然として日常的に使用されています。また、営業担当者が携帯し、CATがない場所での決済に用いられることもあります。さらに、CATを導入している店舗でも、停電や端末故障に備えてインプリンタを設置している場合があります。

インプリンタ決済の注意点

インプリンタによる決済は手動で行われるため、決済金額が一定額（フロアリミット）を超える場合は、カード会社の信用照会センターに電話で承認を得る必要があります。この際、伝えられた承認番号を伝票に手書きで記入します。

エンボスレスカードの登場

近年、エンボス加工のないクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードが増加しています。これらのカードは、主にCATでの利用を前提としており、「ELECTRONIC USE ONLY」と記載されていることがあります。日本では、国際ブランドのデビットカードやプリペイドカード、交通系ICカード機能付きのクレジットカードなどが代表例です。

エンボスレスカードが登場した背景には、カード番号の不正利用を防ぐ目的があります。エンボス加工がないため、インプリンタで情報を転写することができません。また、手書きによるカード情報の記載も認められていないため、エンボスレスカードはインプリンタのみで決済する加盟店では使用できません。

三井住友カードをはじめ、カード番号のエンボス加工を廃止する動きも広がっており、将来的にはナンバーレスカードが主流になると考えられています。

その他の利用例

かつては、キャッシュディスペンサーやATMに内蔵され、利用明細の発行に使用されていました。また、医療機関では、プラスチック診察券から患者の番号や氏名を診療録に転写する際にも使用されていました。

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